出版社内容情報
制度が変わるのなら現場も変わらなきゃ。介護保険=福祉ビックバンの時代にこ[介護保険がやってきた] そ、老人と家族のニーズに応えるために新制度を活用すべきなのだ。著者は他に長野県武石村で地域医療を実践してきた矢島嶺医師、薛静也、下村恵美子、高口光子の各氏。
介護保険と在宅介護
介護保険を地域から考える
医療は介護保険とどう向き合うか
新制度を現場はこう迎え撃つ
今こそ重度の痴呆ケアを
寝たきりケアのための提言
制度が産まれるとは、死産のようなものではないか。
現場の医療職、介護職は制度がどうであろうと、本人と家族のニーズに応えるために仕事をしてきた。だからこそ、寝たきりや呆けの老人が公的なデイサービス、デイケアやショートステイに受け入れられないという状況に怒り、どこからの公的援助もないまま、民間デイサービス、いわゆる宅老所や託老所を創ってきた。さらにグループホームも創りあげてきた。
重度のボケが中度になり、中度が軽度になる力を持っているのがグループホームだというのに、本人も家族も最も困っている深いボケを入所させないのである。しかも、入所している人も重度になると追い出すというのだから、これでは関係障害を作り出しているようなものである。この本の共著者である下村恵美子さんが、全国宅老ネットワークという会で怒りまくったのも無理はない。
デイサービスという制度も同様である。A型だのB型だのと対象者を勝手に分類するのだから老人はかなわない。
障害を持って病院を退院して老人保健施設に入れられ、そこを4カ月で追い出されて家に戻ってB型のデイに通い、重度になるとA型に回されて、ボケるとE型に移される。それもA型やE型である。
「介護保険」がただの制度にすぎないとしたら、これではとても老人を「主体」として考えることはできません。現場は「介護保険」を現場にあわせてうまく使えばいいのです。
これは、「介護保険」の解説書ではなく、現場がこの法律をどうやればうまく使えるかという指南書です。
内容説明
著者たちは介護保険という制度に対してなんの幻想も持っていない。期待もしていないから、逆に声高に批判することもしない。なにしろ制度を生かすも殺すも現場にかかっているのだから。この新しい制度を、寝たきりやボケを支える実践のために使いこなそうじゃないか、というのが本書の主旨である。
目次
1 制度の問題点を探る(介護保険と在宅介護;介護保険を地域から考える―行政の役割・事業者の役割・住民の役割)
2 医療と介護の新時代(医療は介護保険とどう向き合うか;新制度を現場はこう迎え撃つ)
3 介護保険はいいケアのチャンス(今こそ重度の痴呆のケアを;寝たきりケアのための提言)