内容説明
継母に家を追い出され、盲目で地獄をさまよう日本古来の伝説のヒーロー、「しんとく丸」を寺山修司が現代の物語として書き下ろし、それを岸田理生が家という制度の中での母と子の禁断の愛というテーマで新たに書き直した。『身毒丸』。母への憧憬を胸に唄を探し求めて彷徨する青年がたどり着いたのは、妖怪に守られた美女の棲む荒屋敷だった。泉鏡花の文体を生かしながら、夢の中での禁断の恋の物語として岸田理生が見事に劇化した。(『草迷宮』)。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
70
何故か、『オイディプス』を彷彿とさせる『身毒丸』。以前、説経節の方も読んだのですが、やっぱり、元凶を作った父親は自業自得に思えてならない。「子には母がないといけない」という思い込みで娶り、「子を成さない長者に嫌味を言われると困る」という理由で若妻、撫子の愛に答えず、問題から目を背ける癖に色々な理由で撫子に懐かない身毒丸を叩く姿は「勘違いした父親像」だ。一方で母としてアイデンティティを確立しようとしてもできずに身毒丸を呪う痛々しい姿に泣けてくる。そして「あなたの子として生まれたい」と抱き合う二人の姿は官能的2017/06/25
マカロニ マカロン
4
個人の感想です:B。現在泉鏡花の『草迷宮』を読んでいる最中だが、文体の古さと、場面がたびたびあちこちに飛ぶ「入れ子構造」に苦しんでなかなか理解に苦しんでいるので、戯曲でエッセンスを嗅ぎ取ろうと読み始めたが、やはり独特の世界は理解不能に近いものがあった。『身毒丸』の方は昔藤原竜也主演の舞台劇としても有名で、すいすいと読み進めた。「母を売る店」という発想、また「お母さんと言うものは、『家の光』だ」というセリフに妙に納得してしまう。「なさぬ仲」は蜜の味なんでしょうか?2014/12/10
のほほんなかえるさん
1
相変わらず、この人は恐ろしい。けど好き。2010/12/14