内容説明
金融業者にして稀代の詐欺師メルモットは、得体の知れない鉄道建設を名目として、ロンドンに重役会を設置。大衆の投機熱を煽って、株価を浮揚させ、濡れ手で粟の利益をつかむ。一人娘のマリーは父が決めた侯爵の長男ニダーデイル卿との結婚を拒否、文なしの准男爵とニューヨークへ駆け落ちを試みるが…。
著者等紹介
木下善貞[キノシタヨシサダ]
1949年生まれ。1973年、九州大学文学部修士課程修了。1999年、博士(文学)(九州大学)。北九州市立大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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takeakisky
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なんとも怪しい新興成金メルモット氏。財産目当てにその娘との結婚を画策するサー・フィーリックス・カーベリー。いかにも胡散臭いアメリカの起業家フィスカー。成り行きで共同経営者にされてしまったポール・モンタギュー。カーベリーの母マチルダ、妹ヘッタ。本家のロジャーらが、手際よく紹介される。短いセンテンスを連ね、ストーリーがテンポよく進む。イギリスの沈みゆくアッパークラス。彼ほどの毒も、凝った言い回しも無いが、雰囲気はウォーを読むようだ。お分かりでしょ?と言わんばかりのしれっとした皮肉がそう思わせるのか。面白い。2024/07/17