出版社内容情報
……時は17世紀末、美しき侯爵夫人の館の庭で月や土星、果ては銀河までの諸世界をめぐる洒落た対話がなされた。当時の知見と人間中心主義への風刺を含んでサロンの話題を独占した古典。
目次
地球は自転し、また太陽の回りを回る惑星であること
月は人の住む地球であること
月世界の特徴および他の惑星にも人が住んでいること
金星、水星、火星、木星、土星の世界の特徴
恒星はすべて太陽で、それぞれがその世界を照らしていること
これまでの対話で示された考えの正しさを確認させる新しい考えと天空においてなされた最近の発見
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夜間飛行
104
17~8世紀のベストセラーで、対話形式で天文学について啓蒙しようという小説。対話相手は若く美しいG夫人だが、この優雅な女性があえて頓珍漢な受け答えをして見せることで、読者はサロンの会話を愉しむように最新の科学談義に入っていける。例えば、話者が地動説を合理的で単純明快な理論ですよと紹介すると、夫人は「まるでせり市みたいに安い方が勝ちですのね」と感想を言い、夫人がどっしり重い地球が動いたり回転したりするのを不思議がると、話者は「150門の大砲をそなえた大型船だって水上を難なく進みます」と答える、といった具合。2019/09/08
兎乃
32
学術サロンで展開される最新科学の対話や情報交換、そのムードたっぷりに 時にお伽話のように。章立てが整然としていて 17世紀のスーパー・プレゼンテーションとしても楽しめ、足枷となるキリスト教世界の常識を 謙虚に慎みを持って覆す。プラネタリー・クラシクスは ホントに面白いなぁ。2015/11/03
Ecriture
7
コペルニクスやガリレオ以降に可能となった世界・宇宙の複数性について対話形式で記述されている。世界は単一の中心を持つ単一の構造ではなく、複数の中心・系を持った構造なのではないかと気付き始めた人々のお話。当時タブーであったキリスト教の複数性についても踏み込んでいるところがスリリングでいい。2010/08/17
あすか
3
300年以上前にフランスで出版された、一般の読者向けの宇宙科学の本。夜の庭園で星を見上げながら語る美しい貴婦人と科学者の知的な対話、という形式で描かれていて、当時の貴族のサロンのような優雅な雰囲気がそこかしこに漂ってる!それに対話(ずっと会話)なのでとても読みやすかったー。宗教的な理由もあって天動説が主流だった時代に、地動説とデカルトの渦動説をブレンドさせている宇宙感はきっと一般には新しい考え方だったと思うし、何より月や他の惑星にはまず間違いなく宇宙人はいるだろうという、そういう考えに至るまでの思考が面白2016/02/01
anti
1
数学と恋愛は似ている。2018/01/21