内容説明
タソガレの逢魔が刻からカワタレの暁闇、鶏鳴暁を告げるまで…「人外の魔物の時間」に戦々恐々としながら、人々は異界と隣り合わせに暮らしてきた。妖怪譚は実体験として人口に膾炙し、生活の中に脈々と息づいていた―日本各地に伝わる例話に詳細な解説文を加え、「神霊から妖怪へ」というパターンを内側から解きほぐそうと試みた好著。下巻には鬼・天狗、山姥・磯女・雪女らの妖怪を集め、妖怪外伝・妖怪研究および索引を付す。 187ページ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
F
17
下巻は八章より「鬼と天狗」、「山姥」、「磯女」、「人魚」、「雪女」まで。加えて妖怪外伝(器物の怪、化鳥、樹木の精霊、主)、妖怪研究を付す。索引もあり、全体として資料としての側面が強い本書であるが、それは著者が意図したことであり、俗信や習慣の時代変遷を考える材料として本当にありがたい。2011/11/23
佐島楓
12
引き続き京極夏彦さん推薦本。付記された妖怪研究はその道を志すもの必読。日本は伝承が豊かな国だったということがよくわかる。妖怪がある種人間の暴走に対するストッパーの役目を果たしていたのだなということも。2012/06/03
二笑亭
7
上巻に続き広範な伝承の蒐集。師である柳田國男の妖怪=神が零落したモノという考えを引き継ぎ、著者も妖怪伝承の背景にかつての民間信仰の名残を見出そうとしている。鬼と天狗を「山人」とするのも柳田國男の影響を感じる。ただ筆者自身、「妖怪研究」の中で神と妖怪に明確な線が引きにくい例も少なくないことを自覚してもおり、以前別の本で読んだ宮田登・小松和彦の「神と妖怪は転移可能」という考えの方がしっくり来てしまった。上巻同様、キジムナーやケンムン等奄美沖縄の妖怪がたくさん紹介されていて楽しい。2022/10/29