内容説明
「栄光」の日清・日露戦争を描いた『坂の上の雲』。だがその戦場となった近代朝鮮を司馬遼太郎はついに描かなかった。朝鮮史研究の第一人者が、司馬の「朝鮮観」を通してその歴史観を洗い出す。
目次
なぜ、いま、司馬遼太郎の歴史観を問うのか(「明治百年記念事業」と『坂の上の雲』;「韓国併合百年」にぶつけて、なぜ「坂の上の雲」なのか)
1 司馬遼太郎は近代日本の歴史をどう見ていたのか(日本の近代史を見る眼;敗戦前の昭和は日本史上「非連続の時代」という説;日露戦争後におかしくなった日本―という説)
2 司馬遼太郎の「朝鮮観」(司馬遼太郎は朝鮮問題によく通じていたのか;「古代の朝鮮」を語って「近代の朝鮮」を語らない;『坂の上の雲』の時代―日本の勃興・朝鮮の没落;『坂の上の雲』にみる朝鮮論―三つの論点)
3 「近代の朝鮮」を書かないで「明治の日本」を語れるか(日露戦争後に日本陸軍は変質したという司馬の説;司馬遼太郎の主張は成り立つか―日清戦争をふりかえって検証する;日露戦争下の朝鮮の軍事占領;戦史の偽造―真実は書かない公刊戦史)
4 歴史になにを学ぶのか(一韓国知識人の問いかけ;明治初期の「征韓論批判」とロシアの朝鮮観;事実を知る、認める―その勇気を持ちたい;歴史研究と国家権力;歴史が語ること)
著者等紹介
中塚明[ナカツカアキラ]
1929(昭和4)年、大阪に生まれる。日本近代史専攻。近代の日朝関係の歴史を主に研究。1963年より奈良女子大学文学部に勤務、93年、定年退職。この間、朝鮮史研究会幹事、歴史科学協議会代表委員、日本学術会議会員などをつとめる。奈良女子大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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おさむ
moc7
兵衛介