内容説明
音楽、文学、人生、旅、戦争、歳を重ねる―映画の中に描かれる大事なこと。
目次
音楽が聴こえる
読書する映画
言葉、または文学について
トルーマン・カポーティ
経済で説明できない幸せについて
スパイものとミステリ
戦争はどこから来るのか
ナチスの記憶
写真と報道
美わしき女優たち〔ほか〕
著者等紹介
川本三郎[カワモトサブロウ]
評論家。1944年東京生まれ。東京大学法学部卒業。91年『大正幻影』でサントリー学芸賞、97年『荷風と東京』で読売文学賞、2003年『林芙美子の昭和』で毎日出版文化賞、桑原武夫学芸賞、12年『白秋望景』で伊藤整文学賞を受賞。本書のもととなった連載「映画を見ればわかること」では、キネマ旬報読者賞を九回受賞している。評論、エッセイ、小説、翻訳などの著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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もりくに
68
本屋に行けば必ず読む数少ない連載が、本書の基のキネマ旬報の「映画を見ればわかること」。(以前はもっとあったが・・)あとがきによれば、川本さんの映画評論は、作品の「良し悪し」を論じない。良かった映画についてだけ書く、と。これは亡き妻の哀惜記「いまも、君を想う」に書いた妻の助言。彼女は彼の大好きな西部劇に寄せて、「西部劇の悪人は、丸腰の相手を撃つ」と。彼の作品に「歩み寄る」ような評論は、それから始まったようだ。また彼は、自分の評論を、「ミルフィーユ」に似ている、と。彼の各時代の映画体験が、積み重なっている。→2023/06/27
クズンヌ
1
自分の大好きな映画について語るとき。その語り方の大部分を本書の元となった氏の連載エッセイ「映画を見ればわかること」(キネマ旬報)で学んだ。語り口にインスパイアされて劇場に足を運んだ作品も数知れず。 氏によれば、映画を評するとは手間をおしまず先ずしっかりと資料に当たることだという。だがそれだけではあるまい。若い頃から銀幕と向き合ってきたことで培われた感性が、本書でも老練の筆をさらに冴え渡らせている。2023/06/05