家族のもとへ、あなたを帰す―東日本大震災犠牲者約1万9000名、歯科医師たちの身元究明

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  • サイズ B6判/ページ数 223p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784872905847
  • NDC分類 498.92
  • Cコード C0036

出版社内容情報

「3・11 身元究明」を記録したノンフィクション。

東日本大震災が1年経った時点で約1万6000人にのぼる犠牲者が身元を確認されている。膨大な数の犠牲者が名前を取り戻し、家族のもとへ帰ることができたという事実の裏側には、さまざまな立場の歯科医師たちによる献身的な身元確認作業があった。
遺体安置所での苦闘、津波によるカルテ流出の混乱、いまなお続けられている照合作業、そして身元究明システムの問題点……歯科医師たちの生々しい証言によって明かされる「3・11 身元究明」を記録したノンフィクション。

プロローグ
第1章 遺体の「歯」が語るもの
    歯科法医学者・斉藤久子の証言
第2章 凍りついた口を開いて
    岩手県警察歯科委員・菊月圭吾、熊谷哲也の証言
第3章 泥まみれのカルテ
    釜石市 ささき歯科医院 院長・佐々木憲一郎の証言
第4章 名前を取り戻した遺体
    岩手県警察歯科委員・狩野敦史の証言
第5章 ”原発下”という戦場で
    福島県歯科医師会・工藤祐光、
    千葉県警察歯科医師会・大森基夫の証言
第6章 遠く離れた場所で闘うものたち
第7章 「使命」と「責任」の原点
エピローグ
取材を終えて

【著者紹介】
ジャーナリスト・ノンフィクション作家。交通事故、司法問題等をテーマに執筆や講演、テレビ出演等を行う。
2004年からは死因究明問題の取材にも力を入れ、犯罪捜査の根幹に一石を投じてきた。

内容説明

死者の人権を守るため、「歯による身元確認」に賭けた歯科医師たちの証言から明かされる衝撃の現実。

目次

第1章 遺体の「歯」が語るもの―歯科法医学者・斉藤久子の証言
第2章 凍りついた口を開いて―岩手県警察歯科委員・菊月圭吾、熊谷哲也の証言
第3章 泥まみれのカルテ―釜石市ささき歯科医院院長・佐々木憲一郎の証言
第4章 名前を取り戻した遺体―岩手県警察歯科委員・狩野敦史の証言
第5章 “原発下”という戦場で―福島県歯科医師会・工藤祐光、千葉県警察歯科医会・大森基夫の証言
第6章 遠く離れた場所で闘うものたち
第7章 「使命」と「責任」の原点

著者等紹介

柳原三佳[ヤナギハラミカ]
ノンフィクション作家。1963年京都市生まれ。交通事故問題をテーマに鋭い切り口のルポを各誌に執筆。実父を医療過誤で亡くし、自らも医療過誤被害を受けた経験から医療問題にも取り組む。また近年は「死因・身元究明問題」等にも着目し、諸外国の制度を精力的に取材(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

kinkin

88
災害や事故で身元の決め手になるのが歯の治療履歴というのは知っていた。しかし、あの東北の震災では、ほんとうに大変だったことを知った。死後硬直すると口もなかなか開けることが難しくなるという。それを丁寧に時間をかけて器具を使って開ける。それから歯の状態を助手と一緒に書いてゆくという根気がいり、精神的にも辛い仕事だったと思う。そしてこういった行為は許可なくすると、死体損壊罪になるという日本の法律の悪いところが浮かび上がってくる。緊急性など優先事項は後回し。これから大災害があった時を考えていかねばいけないと思う。2025/03/15

きみたけ

50
3.11関連の本を連続で🙂東日本大震災の犠牲者の身元究明のために懸命に活動した歯科医師たちのお話。著者は、交通事故問題や医療過誤問題などをテーマに執筆しているノンフィクション作家の柳原三佳さん。遺体のデンタルチャートを正確に記録し、生前カルテとの照合作業を緻密に行う歯科医師という存在がいかに重要な役割を担っていたかがよく分かりました。日本は歯医者に通う確率が高く歯に関するデータが揃っているので、デンタルチャートによる身元判明はとても有効とのこと。南海トラフでも活かして欲しいです。2025/06/07

ひろこ

4
H23年の東日本大震災で、遺体の身元確認に尽力した歯科医師達の記録。大規模災害時には、歯型や治療痕でのでの本人確認が重要となる。いつ起こるか分からない災害を前に、著者の言うように今後は国内統一の書式や緊急時の支援体制を整えて行かなければいけないのだと感じた。名前の刻印入りの入れ歯には、何もそこまで…と思わないでもないけど。2013/03/15

林芳

3
責任感だけでもだめだし、制度が整っているだけでもだめ。2つが車の両輪として回っていかなくてはいけないのだとわかる。2024/05/12

raimu

3
日航機墜落の際の身元確認作業についての本を読み、同じように身元確認が困難であっただろう東日本大震災ではどうだったのか気になってこの本を手に取った。歯が身元確認に非常に有効であると知っていたが、そのための法的な立場が歯科医師にはないということを初めて知り驚いた。あの過酷な状況でよくぞここまで…という感謝の念に堪えない。この本に書かれている以上に壮絶だったのだろう。この経験を生かし、法整備やマニュアル作りが進んで欲しいと思う。2017/05/28

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