内容説明
死を決し、人の波の中にまぎれこんでいくロシアチェチェンの女性自爆テロリストの悲しい素顔!その「選択」の背景にあるのは「信仰」「政治的理念」ではなく「個人的な悲劇」「人身売買」「薬物利用」の衝撃的真実。
目次
第1部 彼女たちからすべてが始まった―二〇〇〇~二〇〇二年
第2章 “ノルド・オスト”の決死隊―二〇〇三年
第3部 チェチェン人決死隊。二度目の登場―二〇〇三~二〇〇四年
第4部 いかにして女性たちが人形になっていくのか
第5部 次の犠牲者になり得る者とは?
第6部 エピローグにかえて
追伸 ベスランの前とベスランの後
著者等紹介
ユージック,ユリヤ[ユージック,ユリヤ][Yuzic,Yulia]
1981年、南ロシアのドネツク市で生まれる。ロストフ・ナ・ドヌーの大学のジャーナリズム学科卒業後、モスクワの「コムソモリスカヤ・プラウダ」紙のロストフ支局で勤め、その後、モスクワ中央局に移る。2002年に自爆テロ犯女性たちについての最初の取材でチェチェンを訪れる。ミュージカル“ノルド・オスト”人質占拠事件勃発の後、『アッラーの花嫁たち―なぜ「彼女」たちは“生きた爆弾”になったのか』のための取材活動並びに執筆に専念する。2004年1月から「ニューズウィーク」誌のロシア支局に勤める。文化部記者と結婚、娘が一人いる
山咲華[ヤマサキハナ]
2000年より翻訳、通訳、ライターとして活躍中
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
猫草
2
以前から疑問だった〝自爆テロを決行する女性”の謎に近づいた。家族の不幸・恋人・復讐・洗脳・・・・・2011/12/05
Q afuremark あふれ印
1
事件や用語への説明が一切無く文章はかなり感情的。検索して補いつつ飛ばして読んだ。それでも日本とはまるで異質な文化だと思っていたイスラム圏で暮らす女性たちに共感した。宗教的情熱や復讐心に押されて自らの意思で自爆テロを実行する人もいる。でも中には追い詰められ泣く泣くテロ犯となった人もいたと。拒否すれば暴力を振るわれ社会的に抹殺される。悪くすれば殺される。安定剤を与えられて思考力を奪われていた疑いもある。実行すれば英霊と讃えられる。戦時中の日本と酷似している。アッラーの楽園と靖国は同じ役割を果たしているなあと。2017/01/01
テツ
1
きっと信仰や政治的理念のみを理由に自爆テロを行うのはなかなか難しい。でも、爆撃されて頭が半分吹き飛んだ自らのこどもを無表情で抱えている母親はきっと個人的な復讐の為に自爆テロを行うだろう。そういう体験をした人間に安全な場所に暮らしている自分が「復讐なんて無駄だからやめろ」なんていうことは言えない気がする。洗脳されたり、復讐心を駆り立てられたり、薬物を使用されたり、綺麗事な殉教に裏側には何故か弱者ばかりが生きた爆弾になるという不思議がある。2013/08/01
shizuka_電気うさぎ
0
やや(というか、かなり)客観性に欠ける、思い込みが強いと思われる部分があるが、執筆時の著者の年齢や状況を考えると致し方ないかもしれない。それでもこれだけのインタビューを行ったのは評価できる。2014/12/14
千代
0
図書館本。ニュースでしか知らなかった自爆テロですが、なぜ女性が自らの命を犠牲にして、時に全く無関係の人達を巻き込んで死に追いやるのか、私には全く理解出来ませんでした。戦争を背景にした、宗教的な意識が関係しているのかな?くらいにしか考えが及ばなかったんです。でも、本書で書かれていた事実は、それよりもずっと恐ろしいものでした。戦争は、全ての人を狂わせていきます。一日でも早く、本当の意味で平穏が訪れることを祈ります。2014/07/19