出版社内容情報
謎の調香師が作るオーダーメイドの香水は、人の想いに寄り添い、遠い記憶を蘇らせ、秘密さえも暴いてしまう。香り豊かなミステリー。
内容説明
“雨宿り商店街”の片隅にたたずむ香水店「The et Madeleine。」店主の父が失踪し、ひとり帰りを待つ大学院生の茉莉のもとに、謎の調香師の青年・立葵が、ここで香水店を開きたいとやってくる。「初恋の人の香り」「お日さまの香り」「勇気が出る香り」―立葵が作るオーダーメイドの香水は、お客様の大切な思い出を蘇らせ、心にしまった想いを伝え、嘘や悩みごとも見ぬいてしまう。一緒に働くうちに、立葵と香水の不思議な魅力に茉莉は惹かれていくが、苦しくもなって―。「香水」が謎を紐解き、未来を紡ぐ、香り豊かなストーリー。
著者等紹介
miyabi[MIYABI]
東京都練馬区出身。大学生のときに執筆をはじめ、2018年から小説投稿サイト「エブリスタ」で作品を発表。最初に発表した『嘘つきジャスミンと秘密の多い香水店』がデビュー作となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゆのん
71
少々寂れている商店街の端っこにある香水店。アーケードから外れたら庭にはハーブが育っている。そんな素敵なお店を舞台にした『香水』に纏わるお話。香水は時間と友に香りがかわる。この物語のトップノートは少し暗く寂しい香り。ミドルノートはサスペンスフルな危険な香りがし、ラストノートでは暖かく幸せな香りがする。『香り』と記憶に密接な関係があるというのは物凄く頷ける。日常で忘れていた記憶が意識とは関係なく蘇ることがある。雨の匂いや四季の匂いも感じると嬉しくなったり、憂鬱になったりする。香りの不思議もよくわかる作品。2021/03/23
アカツキ
12
大学生の茉莉は1年前に失踪した天才調香師の父の香水店をそのまま使って香水店を開きたいという男性・志野に店を明け渡す。志野は茉莉の父の代表作「マツリカ」のプロトタイプのレシピを見つけて大儲けしようと思っていると告げて…。6作品+エピローグの連作短編集。香水や香りについての知識がストーリーに上手に織り込まれているのは良いけれど、ほんわかした雰囲気の人情話にミステリ要素を盛り込んだのは余計だったと思う。「貴婦人と永遠の薔薇園」が好き。2022/09/11
読書好き・本屋好き堂
9
初読みの作家さん。 作品名から少しファンタジー系かと勘違い。 ミステリーでした😊 香水店に馴染みがなく、調香師のお仕事も興味深かったです✨ 隠された秘密の謎がラスト、衝撃的に解き明かされる😆 最後まで凄く面白かったです🎵2023/06/19
じぇに
9
とある商店街にある香水屋さんの話。訪れる人の求める香りを創り、謎もほどいていくといった感じのライトミステリ。香水という題材がまず素敵だし「おひさまの香り」の香水とか言葉選びが個人的に好きでした。2021/05/08
つくし
4
香水店とそこを訪れるお客様との、ほんわかミステリー(豆知識あり)。と思ったら、そんなオムニバス系ではなくて、少しずつしっかり進行する一冊の小説でした。嘘と秘密のテイストが想像していたものと違ってちょっと個性的な作品になっている感じ。蘊蓄と物語のバランスがちょうどよく読めました。2023/04/09