出版社内容情報
「地政学」とは、〝〈地理的な条件〉が一国の政治や軍事、経済に与える影響を考えること″である。
これをひと言で定義するならば、「世界で起こってきた戦争の歴史を知る」になる。
地理的な条件とは、領土やその周辺地域のこと。
領土といえば国同士が争い奪い合ってきたもの、つまり戦争がつきものだ。
だから、地政学とは戦争の歴史を学ぶことといえる。
その国は地球上のどんな位置にあり、どんな地理的危機にさらされ、あるいは地理的好機に恵まれながら発展してきたか。
地理的条件によって、一国の危機意識も戦略思考も何から何まで変わる。
その国の性格、俗に「国民性」「お国柄」などと呼ばれるものの根幹にも、地理的条件が大きく関わっているといっても過言ではない。
これら危機意識や戦略思考が目に見える形で現れるのが、戦争だ。
置かれた地理的条件によって、それぞれの国の生き残りや発展をかけた野心が生まれ、そこから、さまざまな戦争が起こってきた。すべての戦争には、地理的条件による各国なりの「切実な事情」が絡んでいる。
そうした戦争の歴史を知ることが地政学であり、この視点をもって世界を見つめてみることが、世界の深層をとらえる頭につながるのである。
内容説明
なぜ、ロシアはウクライナに侵攻したのか。なぜ、中国は台湾に手を伸ばそうとしているのか。アメリカが自信たっぷりに自国のロジックを振りかざしてこられたのは偶然なのか。ヨーロッパの団結は今なお揺るぎないといえるのか。プリンストン大学で国際政治の(戦争論)を専攻した著者による日本の「立ち位置」「立ち回り方」がわかる1冊!
目次
プロローグ よりよい、より広い土地を巡る「戦争の歴史」―地政学
第1章 とにかく「広い海」が欲しい中国の地政学(中国から見た世界―内陸も支配しつつ、太平洋に打って出たい;アヘン戦争―イギリスに敗れ、香港を割譲 ほか)
第2章 昔も今も「南」へ向かいたいロシアの地政学(ロシアから見た世界―肥沃な土地と不凍港が欲しい;ロシア・トルコ戦争とポーランド分割―帝国の完成 ほか)
第3章 争いを経て作られた「共同体」ヨーロッパの地政学(ヨーロッパから見た世界―戦いの団結し「ヨーロッパ以外の世界」と対峙;第一次世界大戦―帝国主義的な競争が生んだ世界戦争 ほか)
第4章 かつての「世界の警察官」アメリカの地政学(アメリカから見た世界―なぜ「世界の警察官」となったのか?;米西戦争―スペインに勝利し、アジアに拠点を築く ほか)
エピローグ 日本の現在と今後を考える
著者等紹介
〓橋洋一[タカハシヨウイチ]
1955年東京都生まれ。都立小石川高校(現・都立小石川中等教育学校)を経て、東京大学理学部数学科・経済学部経済学科卒業。博士(政策研究)。1980年に大蔵省(現・財務省)入省。大蔵省理財局資金企画室長、プリンストン大学客員研究員、内閣府参事官(経済財政諮問会議特命室)、総務大臣補佐官、内閣参事官(総理補佐官補)等を歴任。小泉内閣・第一次安倍内閣ではブレーンとして活躍し、「霞が関埋蔵金」の公表や「ふるさと納税」「ねんきん定期便」など数々の政策提案・実現をしてきた。また、戦後の日本における経済の最重要問題といわれる、バブル崩壊後の「不良債権処理」の陣頭指揮をとり、不良債権償却の「大魔王」のあだ名を頂戴した。2008年退官。その後、菅政権では内閣官房参与もつとめ、現在、嘉悦大学経営経済学部教授、株式会社政策工房代表取締役会長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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