内容説明
ホワイトとエプストンの発表した「問題の外在化」、これとまったく同じ時期に同じ家族療法の文脈から、「問題の外在化」というキーワードを創出した心理臨床家が、本書の著者児島達美である。以来、心理療法のポストモダン化は進展したものの、世界経済の動向や社会の保守化傾向などのなかで、心理療法のあり方は問われ続けている。本書は、そんな世界にある心理療法の本質的な意味を―著者独特の軽妙な深淵さのなかで―改めて問う力作である。また、盟友であった故和田憲明氏との3ケースにおよぶ紙上スーパーヴィジョンも掲載。効果のある心理療法にするための具体策が盛り込まれている。それに加え、故森俊夫氏とのトークセッションの原稿も収録。読み応えのある1冊になった。
目次
序 セラピストは良き観客たれ
第1部 私から家族療法へ(私が家族療法から教わったこと;遠い親戚のおじさんのように振る舞う;日本における夫婦療法のゆくえ)
第2部 ブリーフ・セラピーそしてナラティヴ・セラピー(ブリーフ・セラピーへの招待;「問題の外在化」再考;心理療法にとって“ナラティヴ”とは;心理“相談”に固有のアセスメントは存在するか?)
第3部 超・スーパービジョン実践編(ものわかりのよい、手のかからないセラピストとクライエント;若き男性セラピストの“軽はずみと羞恥心”―ある統合失調症女性患者との出会いから;子どものセラピーにはコマーシャル付きがおすすめ)
第4部 “言葉が心をつくる”ということ(会話を続けること―コミュニケーション障害は治療的会話の促進を妨げるか?;高橋規子さんの“ナラティヴ”との対話)
著者等紹介
児島達美[コジマタツミ]
1950年、長崎生まれ福岡育ち。長崎純心大学人文学部人間心理学科、同大学院臨床心理学分野教授。長崎純心大学地域連携センター所長。上智大学大学院教育学専攻博士課程修了。東京都立駒込病院心身医療科他非常勤カウンセラー、九州大学医学部附属病院心療内科助手、三菱重工長崎造船所メンタルヘルスサービス室長を経て、2000年4月より現職。(財)日本臨床心理士資格認定協会;臨床心理士。日本家族研究・家族療法学会;認定制度委員会委員長(認定スーパーヴァイザー)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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