内容説明
日本語定型詩の新たな核をつくる550句、句集制作ドキュメンタリー「菊雪日記」を収録。
目次
2021(雫)
‐2015(鯵;夏の末裔 ほか)
2016‐2017(ひとこゑに;海の肌理 ほか)
2018(犬;Melbourne&Sydney ほか)
2019(街;うゐるす来 ほか)
2020‐(水;エアプランツの花 ほか)
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- 評価
本屋のカガヤの本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ひばりん
18
照れと恥の違いについて言えたらいいのだが、そんな難しいことをうまくは言えない。しかし照れたり照れ隠ししたりというのではなく、恥ずかしさそのものをぶつけてくるような、すごく力強く美しい投球フォームでぶつけてくるような・・・句集である。内容が恥ずかしいのではない。ひとは、記憶を記憶とする瞬間に恥ずかしさを感じるようにできており、あるいは感じなければならない。記憶することの倫理的な恥ずかしさは、時にピンク色に、時に薄い乳白色になって、私たちの世界を彩る。シロップのかかった雪(かき氷?)のようなものとして読んだ。2022/03/24
貴羽るき
2
モノクロで切り取った場面に、ビシッと一点だけ色を差して見せられるようなかんじ。「スキー」の連作がよかった。句集制作の日々を綴った「菊雪日記」まで読み終えると、なんか実際よりもものすごく分厚い本を読み終わったような気持ちになった。2022/01/24
際皮
2
句集。<身にしみて風景が面倒になる><パターンで書ける俳句や敗戦日><サキソフォン眠い季節の弱い花><物入れてのびるポケット小鳥と火> 多様な作品が並ぶ。一句目、二句目のような、俳句という形式自体に呼びかけているような句もあれば、三句目、四句目のように純粋に詩情をおしている句もある。一句目のような、作句に対する開き直り精神を前面に出した句が個人的には最も気に入った。2021/10/09
mi
1
練乳の糸引く指の祭かな/小旅行裸は水音に慣れて/晴れて夜の餡に茸はとろけあふ/パンケーキに蜂蜜が描く冷夏の馬/絵のそとはうちの中なり月の旬/私より皆が疲れて雨の夏/パターンで書ける俳句や敗戦日/白蟻は曖昧なメロディーだから/夏終はる月間たくさんのふしぎ/黙読は眼窩に響き冬の空/水は葉を街と思ひぬ落葉期/アヲウミウシこの町の少年少女/雪少しわたくしはかしこくて暇 かっこいい……俳句つくってみたい 2022/01/07
Nene
0
巻末の「菊雪日記」がとてもいい。2025/01/09