内容説明
他者との関わりの中で気づいた障害特性、起こしやすいトラブル、苦手なことを補うための工夫…自分の特性を知って暮らしやすくなるために必要なこととはなにか。具体的なエピソードを娘と母それぞれの視点からとりあげるなどの工夫もこらした、自分自身も、周囲の人たちも、ともに障害への理解を深めるための一冊。
目次
第1部 アスペルガーだからこそ私は私(だって、そう言ったじゃない;何が重要かの優先順位なんてつけられない;苦手なもの・好きなこと;集中しています;社交辞令は言わないで―薄情なわけじゃないけれど;定型と非定型―それはそれ、これはこれ;アスペルガーだからこそ私は私)
第2部 母から娘へ―霧が晴れた日に(子どもの頃;診断がついて)
著者等紹介
白崎やよい[シラサキヤヨイ]
1983年生まれ。23歳でアスペルガー症候群と診断された。知的障害のない自閉症スペクトラム成人当事者のピアサポートグループを設立し、運営している
白崎花代[シラサキハナヨ]
1955年生まれ。知人から子供の事で相談を受けたのがきっかけとなり、不登校・いじめ・学力低下などで悩む子供達と関わるようになる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
梅ちゃん
16
とても興味深い本でした。23歳でアスペルガー症候群であると診断された白石やよいさんと彼女のお母さんとの関係がよく表されていました。この病気は、他の障がいと違って疑似体験ができないのでなかなか理解しにくいものである。自閉症スペクトラムについてもっと理解を深めたい。2016/02/07
M
10
アスペルガーにも100人いれば100通りの特性がある。定形発達(いわゆるフツウの人)も誰ひとりとして同じ人はいないし誰しも得手不得手があるように。主には人の言葉を言葉通り受け取ってしまうがゆえの不便や困難。社交辞令が通じない。予定の変更に混乱する。問題に対して共感や同情よりも率直に解決策を考えるゆえのコミュニケーションとしての誤解。実生活ではお互いに困ることとストレスで大変だろうが、実は嘘のない素直な感情なのでシンプルで素敵だと思える面もあった。どんな人間も紙一重。へんに線引きせずに共生したい。2015/12/11
貧家ピー
5
23歳でアスペルガー症候群と診断を受けた著者と母親からの視点で構成。「そば」と「近く」の違い、わからないから説明してと言われると定型発達者は言い直してしまうが、それが余計にわからなくなるなど、気付かせてもらった。2016/05/02
ひこうき
4
日常のことについて当事者である娘さんと定型発達の例としてお母さんが書かれている。どちらの視点も入っていてわかりやすかったです。成人してからの診断。診断がついて終わることはないけれど、それまでの日々はより大変だったのだろうなと感じました。お母さんがアスペについて勉強しようとした時、娘さんがいろいろな人と関わる訳じゃないんだから私のことだけ理解していってくれたら良いと言ったこと。やっぱり障害でひとくくりにするのではなく、障害の傾向は参考にしながら、その人個人を理解しようとする姿勢が大切だと改めて考えました。2019/07/08
りんふぁ
3
前半は23歳でアスペルガーと診断された著者、後半は母が書いてる。同じ出来事に対しても、視点や感覚、感情がどう違うのかがよくわかる。どちらかというと著者寄りの感覚の私は、あーそれあるある!的なものが多く、母のほうを読むと回りはこんなふうに受けとるのか、と勉強になった。2016/03/30