内容説明
日本列島で最初に営まれた牧はどのような景観だったのだろうか。それはユーラシア大陸の牧や日本の古代以降の牧と、何が同じで何が違ったのだろうか。本書は、この素朴な問いの答えを求めて古代の馬研究会のメンバーと進めてきた共同研究の成果を一書にまとめたものである。主たるフィールドは、当時、河内湖北岸に位置した大阪府四條畷市とその周辺。
目次
総論―牧の景観考古学事始め
第1部 河内湖北岸の初期馬匹生産とその周辺(河内平野北東部における弥生時代後期~古墳時代の地形変遷と人間活動―放牧地の検討の前提として;遺跡立地からみた放牧地―讃良遺跡群の馬飼い;蔀屋北遺跡と馬関連遺構について;蔀屋北遺跡出土ウマ遺存体の新知見;馬の医療と治療―四條畷市奈良井遺跡出土結石の再発見 ほか)
第2部 河内湖北岸の初期馬匹生産の歴史的意義を探る(同位体分析からみた馬の来歴と産地・消費地―蔀屋北遺跡と東日本の比較;牧のある風景―中国古代を手がかりに;古墳時代の牧、三国時代の牧―朝鮮半島からのまなざし、朝鮮半島へのまなざし;上毛野地域における馬の登場―富岡市後賀中割遺跡7号墳の調査成果から;ヤマト王権の馬匹生産戦略―大和を起点に ほか)
附編 蔀屋北遺跡の再検討