目次
貝ですっと囁きに来て
夜の声
モクズガニ
蟹カマボコ
夏
ムカデよ
晩夏のころ
歩く
顕微鏡
いつの日か〔ほか〕
著者等紹介
秋野かよ子[アキノカヨコ]
1946年、和歌山県和歌山市生まれ。文芸誌「コールサック」に詩やエッセイを発表。日本詩人クラブ、日本現代詩人会、詩人会議、関西詩人協会の会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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やすらぎ
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脳出血を乗り越え言葉を紡ぐ秋野かよ子さん。何百と書き留めた感情的な詩集。人間の矛盾、世界の悲惨、救いを求めて。何もしたくない、食べることすら億劫になる、花も咲いていない、こんな日も喜びたいと。管理された天国と苦しみを這いつくばった自由、人はどちらを願うのだろう。一人ひとりが精一杯に小さな花を咲かせている。枯れないように夜を見つめて。紺碧の海は今も変わらず白い岩礁に鼓動を打ちつけているというのに、別れわかれて飛んでいくタンポポの綿毛のように、じっと時を待つものもいる。闇になれば花弁の瞬きさえも消えてしまう。2022/12/17