ポピュラーサイエンス ハキリアリ―農業を営む奇跡の生物

ヘルドブラー，バート〈Ｈ¨ｏｌｌｄｏｂｌｅｒ，Ｂｅｒｔ〉/ウィルソン，エドワード・Ｏ．【著】〈Ｗｉｌｓｏｎ，Ｅｄｗａｒｄ Ｏ．〉/梶山 あゆみ【訳】

飛鳥新社（2012/04発売）

• サイズ B6判／ページ数 175p／高さ 20cm
• 商品コード 9784864101608
• NDC分類 486.7
• Cコード C0098

出版社内容情報

テレビなどでもおなじみ、地球上で最も人間くさい振る舞いをする昆虫、ハキリアリのすべて。

はじめに
1、究極の超個体
2、菌類を栽培するアリの進化
3、ハキリアリの一生
4、ハキリアリの階級制
5、植物の収穫
6、ハキリアリ同士のコミュニケーション
7、ハキリアリと菌との助け合い
8、菌栽培における衛生管理
9、ゴミの管理
10、略奪アリと寄生アリ
11、ハキリアリの巣
12、ハキリアリのつくる道
訳者あとがき
用語解説
参考文献

内容説明

地球上で最も人間くさい振る舞いをする昆虫のすべて。切り取った葉で食用キノコを栽培し、２０００部屋もある大住居を構え、体の表面で抗生物質まで作り出す。驚くべきハキリアリの生態にピューリッツァー賞作家が迫る。８０点以上のカラー写真、イラストを収録。

目次

１　究極の超個体
２　菌類を栽培するアリの進化
３　ハキリアリの一生
４　ハキリアリの階級制度
５　植物の収穫
６　ハキリアリ同士のコミュニケーション
７　ハキリアリと菌との助けあい
８　菌栽培における衛生管理
９　ゴミの管理
１０　略奪アリと寄生アリ
１１　ハキリアリの巣
１２　ハキリアリのつくる道

著者等紹介

ヘルドブラー，バート［ヘルドブラー，バート］［Ｈ¨ｏｌｌｄｏｂｌｅｒ，Ｂｅｒｔ］
米国アリゾナ州立大学（ＡＳＵ）の生命科学部創立教授。ＡＳＵの前には、ハーヴァード大学で動物学のアレグザンダー・アガシ記念教授（１９７３～１９９０年）を、またドイツのヴュルツブルク大学で行動生理学・社会生物学部長（１９８９～２００４年）を務める。２００２年にはコーネル大学アンドリュー・Ｄ・ホワイト記念教授に任命されている。国内外のさまざまな学術団体の会員でもあり、主なものにはドイツのレオポルディナ科学アカデミー、アメリカ哲学会、アメリカ芸術科学アカデミー、アメリカ科学財団などがある

ウィルソン，エドワード・Ｏ．［ウィルソン，エドワードＯ．］［Ｗｉｌｓｏｎ，Ｅｄｗａｒｄ　Ｏ．］
１９２９年、米国アラバマ州バーミングハム生まれ。幼い頃から自然環境に興味を抱く。アラバマ大学で進化生物学を学んだのち、研究職と教職の道に進み、ハーヴァード大学では４１年間教壇に立つ。科学や文学の分野で１００を超える賞を受賞している。自著の『人間の本性について』（筑摩書房）とヘルドブラーとの共著『蟻（Ｔｈｅ　Ａｎｔｓ）』で２度のピュリッツァー賞を受賞したほか、アメリカ国家科学賞、ノーベル賞が扱わない分野に贈られるスウェーデン王立科学アカデミーのクラフォード賞、日本の国際生物学賞、イタリアの大統領賞と国際ノニーノ賞、アメリカ哲学会のフランクリン賞など

梶山あゆみ［カジヤマアユミ］
東京都立大学人文学部英文科卒業（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

[kubottar]

200ページもない薄い本なのに、1800円と高価な本なので躊躇しましたが中の写真を見て納得。ここまで素晴らしい写真がたくさんあるのなら写真集と考えれば1800円は安い。特に34ページの写真は感動した。自然って無駄がないから美しい。

2012/06/08

[tom]

とても面白い。しばらく前に読んだ「働かないアリに意義がある」も面白かったけれど、この本は、もっとかもしれない。女王アリは、娘の働きアリが産む卵を食べながら、１分間に２０個の卵を産む。１日に２万８８００個、１年で１０５１万２０００個というすさまじい数。産んだ子供たちは、分業体制をとり、仕事に応じて体型も変わる。同じ体型の子供たちであっても、年齢に応じて役割を変えていく。年取った子は、危険な仕事に就く。巨大なコロニーを作り、換気や温度管理まで行っているなどなど。多摩動物園に実物があるとか。行ってみたい。

2013/05/03

[ぽんぽんちかぽん]

読んだ動機は不純で、帯の「もっとも人間くさい昆虫」というのとハンターハンターが頭の中でつながり、興味がわいたからです。人間も狩猟から農耕に移行していくことで安定した食料を確保する事が出来、人口が爆発的に増加したようですが、ハキリアリも進化しています。農業に。しかも女王を中心とした役割分担、一婦多夫で多くの染色体をとりいれようとするあたりそら恐ろしい。小さくて良かった。

2012/06/17

[海星梨]

社会性昆虫に興味があって借りてきたけど、ここにも別の動物と共生する菌類が！　地球の種を超えた共生においては、菌類が関わってる可能性高くない？　いや、藻類の方が上かも。写真が豊富だし、というかそもそも「ハキリアリ」だけでこんなに研究がされてるのかっていうのがまずびっくりポイントだよ。ハキリアリが葉を切ってきてそれで菌を育て、菌と共生してるのもすごいんだけど、巣乗っ取りアリとか依存するアリとかに加え、共生菌に寄生する菌とか、寄生菌を抑えて共生菌を育成する細菌とか複雑な世界の片鱗が。

2023/08/10

[Rie]

これは面白かった！人間が農業を始める遥か昔から菌を育て、栄養としてきたハキリアリの神秘。それを様々な実験を通し、巨大なコロニー自体が一つの生命体かのような超個体のメカニズムを解明していく。複雑で高度な分業は、コロニーを維持するための目的意識と、外敵との戦いや共生の歴史の成せる業なのか。小さなアリが生きていくための進化の不思議を感じる。

2015/01/11