出版社内容情報
ミリオンセラー『悩む力』の著者が、夏目漱石没後100年に満を持して“名言集"に挑戦。本書に収めた148の言葉は、混迷の21世紀を生き抜く私たちに、深い智慧と生きる勇気をもたらしてくれる。
内容説明
ミリオンセラー『悩む力』の著者が、夏目漱石没後一〇〇年の年に、満を持して“名言集”に挑戦。漱石の平易な言葉は、今なお私たちに深い智慧をもたらしてくれる。「可哀想は、惚れたという意味」「本心は知り過ぎないほうがいい」「すれ違いは避けられぬ」「みんな淋しいのだ」「病気であることが正気の証」「嘘は必要」「一対一では、女が必勝」「頭の中がいちばん広いのだ」「片づくことなどありゃしない」。半世紀以上にわたり漱石全集を愛読してきた姜尚中が、密かに会得したこれらの“教訓”とともに、一四八の文章を紹介。本書は、混迷の二一世紀を生き抜くための座右の書である。
目次
残念な人生へのやさしい讃歌
かくも「私」は孤独である―自我
「文明」が人を不幸にする―文明観
たかが「カネ」、されど「カネ」―金銭観
「人の心」は闇である―善悪
「女」は恐い?!―女性観
「男」は男らしくない?!―男性観
「愛」は実らぬもの?!―恋愛観
「美」は静謐の中にあり―審美眼
とかくに「この世」は複雑だ―処世雑感
それでも「生きる」―死生観
著者等紹介
姜尚中[カンサンジュン]
1950年生まれ。東京大学名誉教授。専攻は政治学・政治思想史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
青蓮
109
「そんなら死なずに生きて居らっしゃい」--夏目漱石の名言集。本書を読むとこれだけ鋭い眼差しで世界を見ていた漱石の凄さが解ります。彼が残した言葉は時を経るごとにますます深く、そして新しく響きます。それは彼が物事の本質を見抜いていたからこそ。漱石は20代の頃に色々と読みましたが、当時は書かれてる言葉を表面的にしかなぞっていなかったんだなぁと痛感しました。若い頃に漱石を読む意義は大きいけれど、寧ろ彼の作品はある程度年齢を重ねた人が読む方がより味わい深く感じるように思います。また漱石の作品を再読したくなりました。2016/04/06
けんとまん1007
32
どうしてなんだろう?今の時代、そのものが、漱石の言葉で語り尽くされていると感じてしまうのは。それだけ、変わらないのかというよりも、さらに、人にとって暮らしにくい時代になっているからなのかもしれない。よく語られてきたとおり、漱石自身の状態もあるが、そんな人が増えているのだ。ただし、漱石ほどの知見を持ちえた人はいない。無性に、読みたくなったしまった。2017/04/28
ハイカラ
27
漱石の名言集。名言そのもののチョイスはいいのだけれど、それに付けられている著者のコメントがよろしくない。「私はこう思う」「私はこうだった」というような自分語りが少々鼻につき、楽しめなかった。コメントはいらなかったかもしれんね。2016/05/06
ホシ
23
漱石の作品群から姜尚中氏が選んだ148の珠玉の名言集。漱石の思想を自我、文明感、金銭観、善悪、女性観、男性観、恋愛観、審美眼、処世雑感、死生観の10の観点から捉え、漱石の箴言に姜氏の解説と所感を付記するスタイルです。「ああ、あれだなぁ」と思うものもあれば、改めて瞠目しなおすものもありました。ただただ感服するのは漱石が100年後の社会を完全に見抜いていた、その先見の明です。私は五輪も万博も反対ではありませんが、経済波及効果が云々言っていいるようでは漱石の時代と何も変わらないと思うのです。2019/02/09
jima
22
今に通じる漱石の148の言葉が紹介されている。文章の一部分の抜粋なので、やはり作品全体を読みたい。「こころ」の「悪い人間といふ一種の人間が世の中にあると君は思ってゐるんですか。そんな鋳型に入れたような悪人は世の中にある筈がありませんよ。平生はみんな善人なんです。少なくともみんな普通の人間なんです。それが、いざという間際に、急に悪人に変わるんだから恐ろしいのです。」確かに。2016/08/23