内容説明
戦時中、国家と庶民とが求めた演劇の共有点と差異とは何だろうか。国策と娯楽の間に見いだされる庶民の欲望、統制・検閲の建前と現実。本書では、広いジャンルで「国策劇」が作られ、移動演劇や慰問公演が行われた国内の状況、そこから排除されたもの、さらに外地や軍隊・収容所での演劇など、これまで語られること少なく、あるいは個別的に語られてきた「戦時下の演劇」を包括的・横断的に検討する。
目次
1 忘れられた「国民」と「国策」(忘れられた「国策劇」―娯楽・検閲・外地;「国民演劇」を巡って)
2 移動・慰問・収容所(興行としての「移動演劇」と「慰問公演」;戦争と演劇―東宝舞踊隊の慰問活動;「軍隊」と「収容所」の演劇―異郷の昭和演劇)
3 異郷の「日本」演劇(「満洲国」の演劇;戦時下の上海租界と演劇―呉祖光『文天祥』を中心に ほか)
4 「娯楽」と「伝統」と(戦時下の能楽―プロパガンダ・満洲ツーリズム・海外移民;戦時下の軽演劇団と国策活動―古川緑波一座にみる招待マチネー、内地慰問、空襲下の興行;戦時下の農村における素人演劇)
著者等紹介
神山彰[カミヤマアキラ]
明治大学名誉教授。専攻=近代日本演劇(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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