内容説明
“人間”光秀の栄光と挫折。丹波攻めとその経営手腕、信長が頼った戦略眼と調略、“ナデ切りにしろ”比叡山焼き討ち、裏切られ裏切った戦国のならい、消された一族・伝承まで網羅した決定版!!
目次
巻頭特集 光秀研究の新展開
第1章 才略を尽くし、坂本城主へ
第2章 激動の丹波攻めとその経営
第3章 燃えゆく本能寺、逆臣へのみち
第4章 光秀を支えた一族と家臣
第5章 光秀の伝説と史跡をめぐる
著者等紹介
柴裕之[シバヒロユキ]
1973年、東京都生まれ。東洋大学大学院文学研究科日本史学専攻博士後期課程満期退学。博士(文学)。現在、東洋大学文学部非常勤講師、千葉県文書館県史・古文書課嘱託。戦国・織豊期の政治権力と社会についての研究を専門とする(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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吉田あや
73
多くの図版や写真資料と共に光秀の実在に迫る本書。逆臣のイメージから一転、近年の光秀に対する好意的な人物像を歴史の繋ぎ目から膨らませていたので、イエズス会宣教師ルイス・フロイスの残した著書や、光秀直筆の書簡などから示される、信長とかなり似通った人物像は少しショックでありつつも、人物相関図などまた少し深く知ることができ、充実した資料に大満足の一冊。今更知りようもない遠き歴史の空白に何を思うかはそれぞれの楽しみとできるのもまた浪漫があり、想いを馳せる幸せを感じた。2019/01/27
Tadashi_N
19
秀吉の腰巻どもに歪められた光秀像。福知山の名付け親。2020/03/06
栗羊羹
13
逆臣の汚名を着せられ続け、前半生は謎の部分が多い武将。結構文化人であったらしく(以前読んだ永井路子著『朱なる十字架』より)、気品のある桔梗の紋。いまだに謎として追い続けられている本能寺の変、わずか2週間ばかりの天下。京都に安置されている明智光秀の木像は逆臣として、墨で真っ黒に塗られているとするいう。哀しきかな…戦国乱世。2019/06/22
電羊齋
11
明智光秀について、フルカラーの図版・写真を多用しつつ、最新の研究に基づき多面的に紹介。近年の信長の「革命児」としての人物像見直しとともに光秀の人物像の見直しも進んでいることがわかる。畿内での政治・軍事両面でのマルチな活躍、丹波攻めにかなりの紙幅が割かれている。光秀について知りたいならまず座右に備えるべき本。2018/12/30
うしうし
8
「信長に引き立てられたが、革新的で残酷な信長との間でうまくいかず、謀反へと走ったまじめな人物」という「常識人」としての光秀像(p1)を、同時代史料で再検討した書籍。光秀の人間像をフロイスの評から「才略、深慮、狡猾さ」(p112)とし、信長のイメージにむしろ近い人物とする。説得力があり、光秀周辺の人物についても多くの記述が割かれている。本の装丁は戎光祥社の「シリーズ・実像に迫る」をボリュームアップしたようなないようで、オールカラーの図版も嬉しい。2019/03/31