内容説明
幕末の京都を天誅・暗殺で震撼させた人斬り以蔵。師の武市半平太や坂本龍馬とは異なる闇の人物である。数々の一次史料を精査し、謎多きその生涯を活写する!
目次
序章 誕生(「人斬り以蔵」―その実像を求めて;岡田一族を育んだ土佐国香我美郡神通寺村 ほか)
第1章 虎歩(武市半平太の道場へ入門する;徳弘門で西洋流砲術を学ぶ ほか)
第2章 天誅(吉田東洋の暗殺と参勤御供;上京する土佐勤王党を襲った“はしか” ほか)
第3章 暗転(以蔵、出奔す;終に皆々見限り― ほか)
第4章 結(その後の岡田家;維新になっても顕彰者から外された以蔵)
著者等紹介
松岡司[マツオカマモル]
昭和18年(1943)、高知県佐川町生まれ。法政大学大学院日本史学専攻修士課程中退。佐川町立青山文庫館長を経て、現在は執筆や講演活動を行う(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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古古古古古米そっくりおじさん・寺
91
近頃『FGO』というゲームが人気らしいが、そのゲームに岡田以蔵が登場する事から、数年前に出たこの伝記がにわかに売れ始めるという現象が起きた。出版社の対応が良いのもTwitterで話題に。出版社は良い歴史本を出している戎光祥出版(「えびすこうしょう」と読む)である。そしてこの本の著者は高知の青山文庫(青山こと田中光顕の遺品資料館)に勤めながら、「近年発見された坂本龍馬の新国家書簡は偽文書だ」と、高知県と闘う気骨の歴史家・松岡司である。薄い本だが読みやすく面白い。お薦めの伝記である。以蔵の唯一の良い史伝かも。2018/09/05
優希
86
断片的にしか印象を持っていなかった岡田以蔵ですが、この本で全体像をつかめたような気がします。美化もせず、蔑まず、淡々とその生涯をつづっていく。武市半平太に心酔していたものの、攘夷運動にも勤王運動にもどちらの立場にも立つことなく、最終的に武市にまで見捨てられるのが悲しいところでした。人斬りとして名を馳せた裏には居場所のない辛さというものがあったのでしょう。幕末に人斬りとして散っていった姿は悪人ではなく、志士というべきだと思いました。2016/11/11
AICHAN
35
図書館本。岡田以蔵については司馬遼太郎の『人斬り以蔵』しか読んだことがなかった。ので、「正伝」のタイトルに惹かれて借りた。「正伝」とある通り、岡田以蔵の出自から死にいたるまでを歴史資料から類推する。そう、類推するしかないほど資料が少ないのだ。だから「だろうと想像する」「かもしれない」「と思いたい」といった文章が続く。私としては、岡田以蔵に初学があったということを知っただけで収穫だった。なんとはなしに無学で野獣のような男だと思っていたから。2017/09/26
金吾
27
司馬遼太郎さんの書いている以蔵像と異なる部分が結構あり面白かったです。高杉晋作の世話になっていた話等は興味深かったです。2021/06/05
サケ太
20
岡田以蔵とは何者だったか。数少ない資料から、彼の人物像を類推しつつ、生まれ、剣術を学び、志士として生きて、死ぬまでを追った。2~4ページくらいの内容でテーマを纏めているため、分かりやすく、読みやすい文章。小説では描かれていない家族という要素もあってとてもいい。2018/08/26
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