内容説明
太平洋戦争中に大陸で再会した二人の幼馴染矢島泰介と岩城智也は、必ず生きて帰り、ともに助け合って生きようと誓う。戦後の高度成長期、二人の育った日田の林業は最大の危機を迎え、二人は仲間とともに実りのない戦いに挑む。だが、戦後日本の復興政策によって、国産杉材などの林業の衰退は止められない。木材輸入自由化政策は着々と進められていく。もう一人の幼馴染鬼塚良一もまた、法案をめぐり暗躍。そんななか、鬼塚の失踪事件が起こる。時代は移り、日田、福岡、東京と離れて暮らす子孫たちは期せずして日田に集まり、彼らの複雑に絡んだ糸が解きほぐされ、物語は驚愕の最終章へ。
著者等紹介
織江耕太郎[オリエコウタロウ]
1950年、福岡県生まれ。福岡県立筑紫丘高等学校を経て早稲田大学政治経済学部卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
NAO
68
戦争の闇と日田林業の衰退をからめた物語。矢島泰介と親友岩城智也の代から百年、三代にわたって秘かに受け継がれてきた隠し事が明らかになる。自然を守り日田市を発展させるために道路拡幅の指定地域に入っていたためとはいえ築百年以上で伝統構法で建てられた家を解体させてしまうという行政の矛盾から始まった物語は、だが、期待していたほどではなかった。2021/03/22
ren5000
36
大分の日田から始まる四代百年に渡る一家の大河小説。なかなか人間関係が入り乱れてて何度も巻頭の登場人物覧を見返した。途中からそうではないかなと思ってた血の血脈が想像以上に複雑で悲しいものだった。しかし主人公の一族の奥さんはみんなできた人ですよね。面白かった2021/02/27
ガブリエル
9
大河小説的社会派ミステリ。大河小説は好きなんだけど、100年にわたる物語を300ページに満たないボリュームで描くことに無理があったのかなぁ〜。盛り込みすぎで雑な印象が拭えない。ミステリとしては、動機に深く関わる裕一の父親が判明する箇所に無理があるように思う。いくら暗くても相手の男に気付かないなんてことがあるのか疑問だし、旧通産省キャリアの失踪という回収されない伏線にもモヤモヤ。。明らかに名前や呼び方がを取り違えた表記が数カ所あったり、文章がわかりづらかったりとテクニカルな部分も気になって残念。 2021/01/24
鈴子
8
限られた登場人物なのに、時代と関係がわからなくなり、読むのに手間取る。岩城智也と矢島泰介の堅い絆、つながりが良いと思った。しかし、裕一が自分の子でないと思いながらも誰の子だと問いただすことなく悶々と過ごすのはつらいだろう。2025/01/04
geki
5
杉で有名な日田を舞台に戦中から続く百年間に及ぶ家族の物語。百年の間、天に向かって真っすぐ立つ木のように、真っすぐに立って生きる者たちの熱い血潮が伝わってくる。傑作ではないけれど、快作だ。実に面白かった。2021/07/27
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