内容説明
中学時代のちょっとした遊びの呪いか「二十歳までに三人死ぬ」という言葉にとらわれ、消息不明となっていた酒見君を探し出した源の前に現れたのは…「雲を離れた月」。大学時代の友人、榊君と久しぶりに再会した光安は、思い出話をするうちに彼のお面に手をかけたあの夜のことを振り返る「ある夜の重力」。50万円と引き換えに誕生日を手放してしまった渕上がたどり着いた先には…「7月2日、夜の島で」。「たべるのがおそい」掲載の「エスケイプ」の四編を収録。
著者等紹介
相川英輔[アイカワエイスケ]
1977年生まれ。2016年、福岡市文学賞受賞。2017年、惑星と口笛ブックスより単著『ハイキング』を刊行(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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タカラ~ム
13
描かれている物語は日常、もしくは日常の延長にある。登場人物の誰もが普通の人だし、それぞれに複雑な事情は抱えていても普通に日常の暮らしをおくっている。でも、その日常の先には恐怖があり不安がある。それは、気配を感じさせずジワジワとにじり寄ってくるようで、気づけば読者は恐怖と不安に包み込まれている。本書はそんな物語。2018/09/30
Moeko Matsuda
10
不可思議で少し不気味な話が4編。どのお話もシンとした夜のムードに満ちていて、なんでもないセリフにゾクっとしたり、思いがけない人間臭さにホロリとしたり。そしていずれも、読後には奇妙なカタルシスを感じる。特にお気に入りなのは、表題作の「雲を離れた月」。主人公の苗字は源、そして彼の同級生である不思議な美貌の酒見君とその仲間の茨木…彼らの名前から連想されるのは、昔話に登場する鬼達だ。けれど、本当のところ、鬼はいったい誰なのか。どこともしれない山の中で、彼らは今も密やかに生き続けているのか、それとも…?2020/05/20
ゆかり
7
短編集。①中学時代の呪い②お面を手放せない③誕生日を取り返す④とうもろこし畑 現在の状況→過去の出来事→現在の状況解決の構成。実際にはあり得ないような話を、あり得るかのように書かれているところがおもしろい。2018/10/18
figro
7
姉からオススメされて読んでみました。 電車内で読み始めたのですがぐいぐい引き込まれて、降りる時は早く続きが読みたくて仕方なかったです。 日常のすぐ近くにある怖さや不気味さが、丁寧に書かれていると感じました。 何となくですが、「世にも奇妙な物語」っぽさがあるとも思います。2018/06/24
5〇5
6
御狐様の呪い、マスクの友人、誕生日の譲渡、トウモロコシ畑の逃亡。不思議な設定のお話ばかりで、どうにも「不安」が拭えませんね。覗けども底が知れない心許ない気持ちにさせられます。でも、いずれも潔さの感じられる結末なので、読後感は決して悪くありません。独特の味わいのある作品集です。2024/06/30
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