出版社内容情報
鹿児島県議選・でっち上げ冤罪=志布志事件の集大成。2016年8月全ての裁判で住民勝訴。権力犯罪、刑事司法の闇を抉り出す。2003年春の鹿児島県議選ででっち上げられた冤罪事件=志布志事件。2016年8月「叩き割り」国賠訴訟が終結、すべての裁判で住民側が勝訴した。だが、捜査・取調べ・長期の裁判で塗炭の苦しみを受けた被害者への謝罪はない。他方、今回の刑訴法改「正」では、取調べの可視化は一部に限られ、盗聴対象事件は拡大、あろうことか司法取引さえ導入された。志布志事件を問い直す中、日本の刑事司法の闇を抉り出す。
大崎事件(最高齢の再審請求人 原口ヤス子さん)にも論及。
まえがき 木村 朗
第1部 志布志事件とは何であったのか
1 志布志事件の刑事弁護活動を振り返って 野平 康博
2 調査報道で暴いた志布志事件捜査の違法性 梶山 天
3 「まだ終わるわけにはいかない」
― その思いで闘い続けた二人 ―
「叩き割り」訴訟の浜野博さん 「踏み字」事件の川畑幸夫さん 大久保真紀
4 元捜査第二課長がみた志布志事件
― 国賠訴訟判決を読んで 原田 宏二
5 取調べの全面可視化の法制化を必ず実現させよう 辻 惠
6 志布志事件とは何であったのか
― 再犯防止のため真相究明と責任追及を! 木村 朗
第2部 当事者と支援者からの訴え
1 志布志事件の主犯とされた中山信一 中山 信一
2 志布志事件について 永山トメ子
3 「住民の人権を考える会」の設立 一木 法明
4 住民の人権は守られているか 谷口 松生
5 明日は我が身 でっち上げ志布志事件 下平 晴行
6 事件をめぐる経過と県議会での取組み
―「志布志事件」は終わらない 柳 誠子
特別編 大崎事件
無実の罪を晴らしてから死にたい
― 最高齢の再審請求人・原口アヤ子さん ― 大久保真紀
第3部 資料編
1 志布志事件の経過と「住民の人権を考える会」の活動
2 無罪国賠訴訟・意見陳述書
あとがき 野平 康博
木村 朗[キムラアキラ]
鹿児島大学教員、平和学専攻。一九五四年八月生。北九州市小倉出身。日本平和学会理事。平和問題ゼミナール主宰。インターネット新聞NPJに論評「時代の奔流を見据えて」を連載中。主な著作は、単著『危機の時代の平和学』(法律文化社)、共著『広島・長崎への原爆投下再考ー日米の視点』(法律文化社)、『21世紀のグローバルファシズムー侵略戦争と暗黒社会を許さないためにー』(耕文社)、『米国が隠す日本の真実ー戦後日本の知られざる暗部を明かす』(詩想社)、『核の戦後史ーQ&Aで学ぶ原爆・原発・被爆の真実』(創元社)など。
野平康博[ノヒラヤスヒロ]
鹿児島大学を卒業後、平成七年、司法試験合格。平成八年四月、第五〇期司法修習生。平成一〇年四月、鹿児島県弁護士会に弁護士登録。弱者弁護を志し、民事事件では、原爆症認定集団訴訟、中国残留孤児訴訟、全国トンネルじん肺訴訟、防空壕陥没事故国賠訴訟などの訴訟を手がける。刑事事件では、国選弁護を中心に、裁判員裁判の死刑求刑事件で、一審無罪の判決を得た被告人の弁護人を務め、一審有罪の強姦被告事件の控訴審で逆転無罪判決を受けた被告人の弁護人を務めた。
梶山 天[カジヤマタカシ]
一九五六年、長崎県五島市生まれ。一九七八年、朝日新聞社入社。東京社会部警察庁担当、西部本社報道センター(旧社会部)次長、鹿児島総局長、東京本社マーケーティング企画・戦略主査、東京本社特別報道部長代理、東京本社文化暮らし報道部員を経て現在、日光支局長。著書に『「違法」捜査 志布志事件「でっちあげ」の真実』(角川学芸出版)がある。
大久保真紀[オオクボマキ]
朝日新聞編集委員。一九八七年、朝日新聞社入社。盛岡、静岡両支局を経て、東京本社社会部、西部本社社会部などに在籍。二〇〇六年から約二年、鹿児島総局でデスクを務めた。著書に『買われる子どもたち』『こどもの権利を買わないで―― プンとミーチャの物語』『明日がある―― 虐待を受けた子どもたち』『中国残留日本人』『児童養護施設の子どもたち』『献身―― 遺伝病FAP患者と志多田正子たちのたたかい』、共著に『虚罪―― ドキュメント志布志事件』など。
原田宏二[ハラダコウジ]
一九三七年札幌生。一九五七年、警察学校初任科入校北海道巡査。一九七五年、警察庁出向、山梨・熊本県警の捜査二課長などを経て北海道警釧路方面本部長(警視長)、一九九五年、退職。二〇〇四年、道警裏金問題を告発。「明るい警察を実現する全国ネットワーク」発起人。「市民の目フォーラム北海道」代表。広く警察の実態を国民に知らせる活動、冤罪被害者や国賠訴訟の支援活動など、全国で警察改革を求めて活動中。著書に『たたかう警官』(ハルキ文庫、『警察内部告発者』を改題・再編集)『警察捜査の正体』(講談社)など。
辻 惠[ツウジメグム]
一九四八年京都市生。東京大学法学部卒業。弁護士。元民主党衆議院議員(二期)。衆議院法務委員会与党筆頭理事、検察官適格審査会委員、民主党副幹事長、政策調査会副会長、法務部門会議座長等を歴任。現在は「オール関西 平和と共生」代表として活動。著書に、『デッチ上げを許さない――志布志選挙違反事件の真実』、『政権崩壊――民主党政権とはなんだったのか』(青木理・宮崎学氏らとの共著)がある。
中山信一[ナカヤマシンイチ]
元鹿児島県議会議員
永山トメ子[ナガヤマトメコ]
無罪国賠訴訟原告
一木法明[イチキノリアキ]
「住民の人権を考える会」名誉会長
谷口松生[タニグチマツオ]
「住民の人権を考える会」会長
下平晴之[シモヒラスミユキ]
元志布志市議会議員
柳 聖子[ヤナギセイコ]
鹿児島県議会議員
内容説明
2003年春の鹿児島県議選ででっち上げられた冤罪事件=志布志事件。2016年8月「叩き割り」国賠訴訟が終結、すべての裁判で住民側が勝訴した。だが、塗炭の苦しみを受けた被害者への謝罪はない。他方、今回の刑訴法改「正」では、取調べの可視化は一部に限られ、盗聴対象事件は拡大、あろうことか司法取引さえ導入された。志布志事件を問い直す中、日本の刑事司法の闇を抉り出す。
目次
第1部 志布志事件とは何であったのか(志布志事件の刑事弁護活動を振り返って;調査報道で暴いた志布志事件捜査の違法性;「まだ終わるわけにはいかない」―その思いで闘い続けた二人―「叩き割り」訴訟の浜野博さん「踏み字」事件の川畑幸夫さん;元捜査第二課長がみた志布志事件―国賠訴訟判決を読んで;取調べの全面可視化の法制化を必ず実現させよう;志布志事件とは何であったのか―再犯防止のため真相究明と責任追及を!)
第2部 当事者と支援者からの訴え(志布志事件の主犯とされた中山信一;志布志事件について;「住民の人権を考える会」の設立;住民の人権は守られているか;明日は我が身 でっち上げ志布志事件;事件をめぐる経過と県議会での取組み―「志布志事件」は終わらない)
特別編 大崎事件(無実の罪を晴らしてから死にたい―最高齢の再審請求人・原口アヤ子さん)
第3部 資料編(志布志事件の経過と「住民の人権を考える会」の活動;無罪国賠訴訟・意見陳述書)
著者等紹介
木村朗[キムラアキラ]
鹿児島大学教員、平和学専攻。1954年8月生。北九州市小倉出身。日本平和学会理事。平和問題ゼミナール主宰
野平康博[ノヒラヤスヒロ]
鹿児島大学を卒業後、平成7年、司法試験合格。平成8年4月、第五〇期司法修習生。平成10年4月、鹿児島県弁護士会に弁護士登録。弱者弁護を志し、民事事件では、原爆症認定集団訴訟、中国残留孤児訴訟、全国トンネルじん肺訴訟、防空壕陥没事故国賠訴訟などの訴訟を手がける。刑事事件では、国選弁護を中心に、裁判員裁判の死刑求刑事件で、一審無罪の判決を得た被告人の弁護人を務め、一審有罪の強姦被告事件の控訴審で逆転無罪判決を受けた被告人の弁護人を務めた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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