内容説明
一介の鉄道員から学問を志し、学閥差別や嫌がらせにも屈せず、古典研究に革新をもたらした「古筆学」を独力で打ち立てた異能の学者、小松茂美。その壮絶な闘いの生涯を描く。
目次
第1章 平安の女神
第2章 国鉄とピカドン
第3章 勘当
第4章 学士院賞
第5章 満身これ学究
第6章 古筆学
第7章 一念、岩をも徹す
著者等紹介
吉村克己[ヨシムラカツミ]
1959(昭和34)年、東京生まれ。ルポライター。早稲田大学第一文学部卒業。これまでビジネス・経済・社会問題に関する記事を執筆(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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tom
17
学歴のない人。その彼が平家納経の美しさに魅せられて、研究者の道に。そして、古筆学という分野を開拓。これが古典研究に大きな影響を。学閥には属さず、大学の研究者からは無視されていた。一方で、人脈はすごくて、あの人ともこの人ともお友達だったと延々と書いている。大酒のみで、お座敷芸が達者だった。これもすべて研究のため。でも、私が知りたいと思ったのは、彼の研究の方法。この部分は、さらっと書いているだけ。どんなふうにして、「すごい」研究をやり遂げたのか、さっぱり不明。だから残念本。2020/06/16
ぼっこれあんにゃ
5
☆☆ 夢をかなえるためには、どうすれば良いのか?多くの人は、努力することと答えるであろうが、それでは足りない。もう一つ大切なことは、人に頼ることです。 この本で語られる小松茂美は、がむしゃらに研究に突き進んでいく過程で、様々な著名人に手紙を書き、協力を依頼します。小松茂美の思いに応えた人々がさらに彼を夢に近づけてくれます。 全てを巻き込む覚悟や情熱が必要なのだと思います。 ぶっちゃけ、「古筆学」などわからなくても、小松茂美の頑張る姿や残した業績にエネルギーをもらえる本です。 2020/05/31
ぼっこれあんにゃ
2
◎すごい人だ。小松茂美は全くの門外漢であるにもかかわらず、ハンデキャップをものともせず、その道のプロでさえできない偉業を成した。「人事を尽くす」を具現化するかの如く。仕事、家庭、人脈、あらゆるものを武器として目標に向いひた走っていく。不況といわれ、職に就くことすら大きな目標となってしまった悲しい現代に、仕事とは人生の目標にたどり着くためのただの手段でしかないと気づかせてくれる。この本を読むと、自分は何を為しているのか、為すべきなのか問わずにはいられない。生きるためのエネルギーを分けてもらえる素晴らしい作品2009/06/21
メルセ・ひすい
0
学士院賞の評伝2009/02/04
メルセ・ひすい
0
早大卒 古筆学2009/01/21