内容説明
本書は、現象学に基づく福祉哲学の領域を切り開く試みである。特にその軸芯となる人格論を、科学によっては把握不可能な領域にまで深めて考察している。その人間学的考察の展開によって、真の福祉への道が、相互包摂情況という特性を持つトポス(場)へと続き、プロセスにおいて相互主体的ないし主体的共同としての人間福祉の基盤が築かれていくことが説かれる。
目次
1 社会福祉における共感的共同の現象学的考察(社会福祉援助技術における「共感」の意味;福祉的共感と福祉的共同について;共感的共同の具体的実現としての福祉 ほか)
2 共感的共同の現象性と基底について―福祉実践におけるその間主観的考察(福祉領域の間主観的考察とその問題点;問題情況の克服とシェーラーへの回帰;共感的共同の現象性と基底―シェーラーにおける形而上学の克服 ほか)
3 トポス論の現象学的考察―社会福祉実践における「場」の解明のために(トポスについての基本的考察―アリストテレスにおけるトポス論からの展開;日本における「場所の論理」;間主観性論の具体化―トポス論の具体を求めて ほか)
著者等紹介
牛津信忠[ウシズノブタダ]
1945年生まれ、1970年同志社大学大学院修士課程修了。1975~1976年ロンドン大学(LSE)M.SC.コース留学。2004~2005年ケンブリッジ大学客員研究員及び同大学Darwin Col.客員メンバー。学術博士(聖学院大学)。現在、聖学院大学人間福祉学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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- 河のほとりで 集英社文庫