出版社内容情報
どんな動物でも生きていくためにはコミュニケーションが必要だ。人間は言葉を使って意思を伝達するが、言葉を持たない動物たちはどのような方法で意思の疎通を図っているのだろうか。実はすべての動物たちは、人間の言語に相当する精密なコミュニケーション手段を持っており、我々が想像できないほど豊富な情報交換を行っていることが明らかになってきた。動物のうなり声や鳥のさえずりは、従来は単なる感情の発露と見られていたが、実際には自分が今感じていることではない何かを、意志を持って伝達しようとする「リファレンシャル(対象指示)コミュニケーション」が多く含まれることがわかってきた。本書は、こうした動物のコミュニケーション能力に関する最新の研究結果を、豊富な写真やイラストを使って分かりやすく解説している。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
小梅
91
表紙の猫と目が合ってしまい購入。人間が思っている以上に動物は声やジェスチャーなどで会話している。人間は言葉を喋るが、気持ちをちゃんと伝えられているか?と問われたら、どうだろう… なんて、色々と考えてしまいました。2020/06/06
鱒子
60
図書館本 犬を飼っているのでカーミングシグナルについて少しは知っていましたが、犬以外の動物ってどうなん?という気持ちから手に取りました。驚いた記事は、マッコウクジラとピグミーマーモセットには喃語(赤ちゃん言葉)がある、ルリハインコが相手の声真似をする時は、その相手を指し示しているーーつまり、個体名がある。知らない事とはいえ、人間は動物の知性に対して傲慢なのか。ナショジオらしく写真が豊富なムックです。2020/07/10
宇宙猫
24
★★ 動物が声・匂い・色などを使って仲間とコミュニケーションをとったり、敵にマズイ奴と認識させたりするなどの方法についての本。タイトルの”言葉”や表紙の猫に惹かれて読んだので肩すかし。2020/08/07
アナーキー靴下
15
コロナ禍で導入されたリモートワーク環境でコミュニケーションについて思うところがあり、図書館で探した中ではこれくらいしか目につくものがなかったので借りてみた。本書にある、人間は言葉以外の情報伝達に関心がない、というのが正に感じていた問題。言葉だけなら電話会議で問題ないのに、やっぱり対面で表情や仕草見ながら話す効果は高すぎる。幸せさえ感じる。接触の機会が減るなら何とかして効果をさらに高められないかのヒント探し。本の内容自体は、良質な動物ドキュメンタリー。興味深い話ばかりでもちろんおすすめです。(ムック本)2020/08/28
よだみな
2
「このシャコは動物で唯一、円偏光を知覚することができる。」円偏光でつまづく。 この本は、“さわり”であって、ここからいろいろ勝手に調べろということのようだ。ならば参考文献もつけてほしい。 確かに生き物たちの行動を知るのはおもしろい。しかしこの分野はまだ始まったばかり。類人猿に人間のことばを覚えさせることが流行った時代があった。今の研究、例えば民主主義の項のように、人間の固定観念ではないかとの疑問も浮かぶ。しかし、ヒトと生き物の共存共栄を望む者としては、さっさと戦争をやめて予算をまわせと強く願うのであった。2022/09/23