内容説明
自己とは何か。心理学は、この深遠でとらえどころのない問いを「人は自分をどのような人物として理解しているのか」に置き直し、自己の姿に関する自己自身の意味的解釈である自己概念に対象を絞り、「慎重な」「外向的」など、言葉により把握される特性自己概念の研究を進展させてきた。本書は、19世紀のウィリアム・ジェームズに端を発し、アメリカを中心に発達してきた心理学の成果と学説史の流れを丁寧に解説しながら、独自の実験と分析に基づいて、自己概念がなぜ変動するのか、その特徴と要因を明らかにする。
目次
第1章 特性自己概念(心理的適応の指標としての自己概念;自由記述に現れる自己概念 ほか)
第2章 自己呈示と自己概念の分化(日常生活における自己呈示と聴衆の分離;自己呈示研究の枠組み ほか)
第3章 特性自己概念の分化(分化した自己概念のモデル;分化の指標 ほか)
第4章 関係性と特性自己概念(関係性スキーマ;関係的文脈と自己概念の分化―特性判断の好ましさによる検討 ほか)
第5章 特性自己概念の変動(密度分布モデル;マルチレベルモデリング―個人内分散と個人間分散の分離 ほか)
著者等紹介
福島治[フクシマオサム]
1965年、群馬県生まれ。群馬大学教育学部教育・心理学専攻一類卒業。東京学芸大学大学院教育学研究科修士課程修了。東北大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。岩手県立大学社会福祉学部講師、准教授を経て、新潟大学人文学部准教授(社会心理学、人格心理学担当)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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