内容説明
保育士として子どもを見守るまなざしと、置き去りにされるロボのかなしみ。「ケア」の本質を見つめる348首。
目次
もういちどふれてください
おもてなしロボ
両手をあげる
しあわせなら手をたたこう
エレキギターの鳴き声
パプリカになりたかった
赤ちゃんポスト
太陽に会えなかったらどうしよう
リンダリンダ
ありのままで
にんげんの何がわかるというの
満潮の躰
散らばったひらがな
おばあちゃんがさわるもの
美しくてさわってしまう
マナーパンツ
ラの音で泣く
しめじの城
きみはかまないですか
ホンビノス貝〔ほか〕
著者等紹介
谷川保子[タニカワヤスコ]
1975年5月30日千葉県千葉市生まれ。2018年、かりん賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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あや
22
著者は1975年千葉市生まれ。かりんの会に所属して馬場あき子さんに師事。本書は2024年刊。2015年にかりんの会に入会し2018年にかりん賞受賞。敬愛する歌人、川野里子さんが栞文を書かれているので手に取る。第一歌集である。大学卒業後長らく保育士さんをされて現在は障害児発達支援施設にお勤め。保育士さんならではの作品がとくに心に残る。 妊娠を希望する人は手をあげて裁きのごとき保育士会議/ひとりきり少女がトイレで子を産みぬ吠えただろうかコヨーテのごと/満月にわれは破水し生焼けの人と獣に分かれてゆきぬ2025/06/11
わいほす(noririn_papa)
5
保育士である著者の第一歌集。「夏季保育の大きなホールに園児らは散らばったひらがなのごと寝る」子どもたちの寝姿を「散らばったひらがな」という比喩は秀逸。私も園児たちが仰向けに思いのまま大の字(両肘、両膝が曲がっているので大ではない)に寝ている可愛い様子をなんと表現したらよいかと悩んだことがあり、なるほどと思った。一方で「おりこうな子に育てたらもったいないわれ保育士に向かぬほいくし」はちょっと保育への考え方が表層的のような。と、つい歌集を超えた読み方をしてしまう(笑)。ピンクの栞文は高齢者には読めません(笑)2025/06/29