内容説明
大きな樫の木のある町で、「地図にない道」を歩く。妻と呼ぶ人とともに。歌の中に、ちちははを眠らせて。第十九回寺山修司短歌賞、第六十四回芸術選奨文部科学大臣新人賞受賞作の『すずめ』につづく、第三歌集。
目次
1(なにかと;蒸発の夏;人参ぎらい ほか)
2(すずめの町;それぞれの五十五年を;スリムなすずめ ほか)
3(戸籍係;山;小さな秋刀魚 ほか)
感想・レビュー
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yumicomachi
4
2019年9月刊行の第3歌集。あとがきによれば、この集に収められた歌が詠まれた期間に著者の生活にはさまざまな変化があり、生きていることがミステリーだったという。教会を訪れたり父の遺した聖書を読んだりする歌や、比較的遅く結婚したパートナーとの生活の歌に惹かれた。〈「かあさんの歌」に似ている讃美歌をうたい終えたる人は座りつ〉〈若き日の父の書き込み辿りつつユダの手紙を二度読みかえす〉〈妻は中野の、われは港の歌会へ 春の日差しの駅に別れる〉〈腑に落ちぬことはそのまま パソコンを閉じ本を閉じ人生を閉じ〉等456首。2025/02/26