内容説明
著者の学問研究の原点には、若き日の学生運動の体験がある。排除されたものへの共感と研究テーマとしての日本文化の中にあり続けた「闇の精神世界」が結合したのである。そのことが、「神」として祀られる存在がある一方で、祀られていない存在としての「妖怪」を発見することになる。さらに、学問研究の中心は「神」への関心が高いが、「妖怪」は研究の価値すら認めないアカデミズムへの批判にも繋がった。しかし、著者は、その原点を凌駕し、独自の人類学的な民俗研究を基礎に、好ましくない「超自然的な力や存在」である妖怪を研究することが、日本人の精神構造を理解する上で重要な学問的方法であることを提唱する。デビュー作『神々の精神史』以来、着実に積み重ねてきた「小松妖怪学」の基本テキスト。
目次
はじめに 新しい妖怪学のために
第1部 妖怪と日本人(妖怪とはなにか;妖怪のいるランドスケープ;遠野盆地宇宙の妖怪たち;妖怪と都市のコスモロジー;変貌する都市のコスモロジー;妖怪と現代人)
第2部 魔と妖怪(祭祀される妖怪、退治される神霊;「妖怪」の民俗的起源論;呪詛と憑霊;外法使い―民間の宗教者;異界・妖怪・異人)
おわりに 妖怪と現代文化
著者等紹介
小松和彦[コマツカズヒコ]
1947年東京都生まれ。専攻=文化人類学・民俗学。東京都立大学大学院社会科学研究科博士課程修了。信州大学助教授、大阪大学教授を経て、国際日本文化研究センター教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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