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妖怪学新考―妖怪からみる日本人の心

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  • サイズ 新書判/ページ数 316p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784862481801
  • NDC分類 388.1
  • Cコード C0221

内容説明

著者の学問研究の原点には、若き日の学生運動の体験がある。排除されたものへの共感と研究テーマとしての日本文化の中にあり続けた「闇の精神世界」が結合したのである。そのことが、「神」として祀られる存在がある一方で、祀られていない存在としての「妖怪」を発見することになる。さらに、学問研究の中心は「神」への関心が高いが、「妖怪」は研究の価値すら認めないアカデミズムへの批判にも繋がった。しかし、著者は、その原点を凌駕し、独自の人類学的な民俗研究を基礎に、好ましくない「超自然的な力や存在」である妖怪を研究することが、日本人の精神構造を理解する上で重要な学問的方法であることを提唱する。デビュー作『神々の精神史』以来、着実に積み重ねてきた「小松妖怪学」の基本テキスト。

目次

はじめに 新しい妖怪学のために
第1部 妖怪と日本人(妖怪とはなにか;妖怪のいるランドスケープ;遠野盆地宇宙の妖怪たち;妖怪と都市のコスモロジー;変貌する都市のコスモロジー;妖怪と現代人)
第2部 魔と妖怪(祭祀される妖怪、退治される神霊;「妖怪」の民俗的起源論;呪詛と憑霊;外法使い―民間の宗教者;異界・妖怪・異人)
おわりに 妖怪と現代文化

著者等紹介

小松和彦[コマツカズヒコ]
1947年東京都生まれ。専攻=文化人類学・民俗学。東京都立大学大学院社会科学研究科博士課程修了。信州大学助教授、大阪大学教授を経て、国際日本文化研究センター教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

3
妖怪の定義についていろいろと考えさせられる。2010/08/30

なるとん

2
未だ日本人の中に存在する「妖怪」という存在を、その発生から当時の日本人の生活環境などを踏まえて考察した本。初めての妖怪学の本でしたが、やはり妖精学に通ずるところもあり、大変興味深く読めました。妖怪学に関しては全くの初心者でしたが、著者の説明が丁寧なことと、神道系の知識が少々あったこともあってか、大変読みやすかったです。著者の他の著書も読んでみたいと感じました。2011/04/25

kassie

1
業務上、必要となり、通読。妖怪の研究といえば小松和彦というほど、民俗学上の著者の仕事は飛び抜けている。これまで、妖怪や幽霊に対し、正面から取りかかった研究者が少なかったことが分かる。近代化と妖怪の関係、妖怪が発生する場(空間、環境など)の関係などは理解しつつも、妖怪そのものがどうしてうまれるのかについては、実証できないからか、腑に落ちない。こう考える自分は、近代の枠組みで物事を考えているからだということを再確認した。2013/09/06

ソクラテスくん

0
妖怪の「発生」のメカニズムがわからなかった。人間心理がどうして身近な空間の不可思議な現象を妖怪へ形象化したんだろうか?2012/01/26

じゅんた

0
ちょっとモヤモヤ。「不安」「恐怖」をなぜ「妖怪」という表象で覆わなければならないのかという私の個人的疑問に答えてくれるものではなかったからかな…。とは言え、この原著が刊行された当時、妖怪研究は未開拓といった状況だったらしいから、本著はその領域を切り開いたという点で評価されるらしい。また柳田学の呪縛を乗り越えた点でも評価されるらしい(あとがき、解説より)。民俗学に手をつけたのは最近なのでその辺の評価ポイントがつかめず残念。同著者の『神隠しと日本人』の方がおもしろい。2011/09/21

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