内容説明
『国家と革命』、『何をなすべきか?』、『唯物論と経験批判論』ら廃棄されたテキスト群に真摯に向き合い、フロイト、バタイユ、マレーヴィチ、カール・シュミット、アレント、フーコー、ネグリ、宇野弘蔵、廣松渉らとの格闘を通じ、世界史に再び立ち上がるレーニン。現代思想の臨界点を突破し、いま、ここに未知の「唯物論」が誕生する。
目次
序論 レーニンと二〇世紀
第1部 思想史上のレーニン(歴史の“外部”への跳躍―レーニンのスプレマチズム;“物質”の叛乱のために―唯物論とテクノロジー;マルクスを受け継ぐこと―不均等発展論と十月革命;“力”の秩序としてのコミュニズム―無国家社会の倫理的基礎)
第2部 現代思想としてのレーニン(民主主義とその不満―レーニン、フロイト、ラディカル・デモクラシー;実在論の政治学―レーニンとネグリ;経済学と革命―宇野弘蔵におけるレーニン;終末の認識論―レーニン“再見”に寄せて;「モノ」のざわめきから新たなるコミュニズムへ)
著者等紹介
白井聡[シライサトシ]
1977年、東京都生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒業。一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程単位修得退学・博士(社会学)。日本学術振興会特別研究員等を経て、現在、京都精華大学人文学部専任講師。専攻は、政治学・社会思想(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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makoppe
2
安保法案が通りそうな今日に読了。レーニンが目指した革命は現在を未来化し、未来を現在化するようなものであった。それを導くための力としての物質。私たちは未来を、つまりいまは見えない何かを引っ張り出してくることが絶対にできる。戦争のない、貧困や差別のない社会を作ることができる。危機の時代にあってこそ、レーニンがなそうとしたことが役立つものとして、生き生きと立ち上がってきている気がしてならないのだ。2015/09/17
Mealla0v0
1
レーニンを「可能性の中心」で読む。現代思想としてレーニンを蘇らせる。それが本書のスタイルである。レーニンにとって革命とは、潜勢力としてある〈外部〉を手繰り寄せ、それを現勢化することだと言う。その賭け金が「物質」である。すべてが商品化される資本制社会において、「物質」は〈内部〉に織り込まれた〈外部〉なのだ。これを蜂起させることで、〈外部〉を解放し革命を成し遂げる――白井の描くレーニン像は、このようなものである。外部の喪失、平準化というような現代思想の難点を、白井はレーニンによって乗り越えようとしているのだ。2018/06/06
Mt. G
1
祝・増補改訂版で復刊!なのですが、肝心の増補部分は、序文と『ネグリ、日本と向き合う』収録論文と『国家と革命』の解説でした。絶版だったのが手に入るようになっただけでもうれしいことですが……。2015/07/28