内容説明
武田家再興のため秘宝軍書を探し魔神らと戦う少年剣士達、老中を攫った海賊「海の狼」と共に南洋に向かう浪人と少女、血湧き肉躍る時代伝奇長篇小説2篇、完全版単行本初収録!傑作短篇時代ミステリー8篇併録、周五郎時代小説の原点。
著者等紹介
山本周五郎[ヤマモトシュウゴロウ]
1903~67年。山梨県生まれ。小学校を卒業後、質店の山本周五郎商店の徒弟となる。文芸に理解のある店主のもとで創作を始め、1926年の「文藝春秋」に掲載された『須磨寺附近』が出世作となる。デビュー直後は、倶楽部雑誌や少年少女雑誌などに探偵小説や伝奇小説を書いていたが、戦後は政治の非情を題材にした『樅ノ木は残った』、庶民の生活を活写した『赤ひげ診療譚』、『青べか物語』など人間の本質に迫る名作を発表している。1943年に『日本婦道記』が直木賞に選ばれるが受賞を辞退。その後も亡くなるまで、あらゆる文学賞の受賞を拒否し続けた
末國善己[スエクニヨシミ]
1968年広島県生まれ。文芸評論家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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しいかあ
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ばか弥太の2編と歔欷く仁王像に見える馬鹿のふりをする探偵役は、日日平安の中の若き日の摂津守の原型といえるかもしれない。摂津守のほうは馬鹿になる理由にしてもそのための訓練にしても、もっと凄絶だったけれど。2011/11/25
アヴィ
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目的の為であれば例え愚か者の誹りを受けようとも、山本周五郎作品に通底する信念でもある。その目的が現代からは奇異なものでも、山本周五郎によって書かれる伝奇ロマンな物語になると、時代を超えた普遍性を持ってしまう。他作品にも幾つかあるが、武田家への思いが深いのも山本周五郎らしい。2025/09/04