出版社内容情報
「演じる人」ならではのシニカルかつユーモラスな視点に満ちた名文が遂に1冊に。週刊文春の好評連載「私の読書日記」4年分を収録。
内容説明
読書の歓びから演技論、生と死の「かたち」まで、「本」から広がる名優の随想ノート、待望の単行本化。「週刊文春」好評連載「私の読書日記」6年分を収録。
目次
老人、ばらばらの自分、幽霊
絵はがきの効用、風変りな文通、見る人
魔法、男性、「かわいい娘」
浮浪と矜恃、赤裸のヒト、無垢
ブッダ、キング、カシアス
幻のマク・ベス、赤バット、「待つ」
川辺の人々、危ない生き方、土着
身体の仕組み、身体の力、身体を貸す
上機嫌な男と女、女スパイ
戦時下の娘、兵士、父親の感情〔ほか〕
著者等紹介
山崎努[ヤマザキツトム]
1936年、千葉県生まれ。高校卒業後、俳優座養成所を経て59年に文学座に入団。60年、三島由紀夫の戯曲『熱帯樹』の初演で俳優デビュー。63年に映画『天国と地獄』(黒澤明監督)の誘拐犯役で注目を集め、以降、映画、テレビドラマ、舞台と幅広く活躍。出演作多数、受賞歴多数。著書に『俳優のノート―凄烈な役作りの記録』(文春文庫)がある。2000年紫綬褒章、2007年旭日小綬章を受章(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
120
私の好きな俳優さん、山崎努さんがこんなに読者家であるとは思いもみませんでした。週刊文春に連載されていたようです。様々な分野の本を読んでおられるようですがやはり芸術家関連のものが多いように感じました。私も嫌いではないので結構読んでみたくなる本が多くなりました。2015/08/31
キラ@道北民
42
俳優山崎努さんの読書日記。ダ・ヴィンチ2018年8月号で山Pが手にしているのを見て、早速読んでみた。きっかけは何であれ、とても読み応えのある1冊だった。幅広い読書とその本に纏わる話や、連想したエピソードが面白く、流石に長年様々な事を受け入れ表現してきた方だけあって、文章からもその経験が滲み出ている。小川洋子著『猫を抱いて象と泳ぐ』の回が1番印象的。「仕方のない事情」は受け入れる事に共感し、びっくり仰天した箇所、チャーミングなシーン、世代は違っても本を通して語りたい所が同じという事がすごく嬉しかった。2018/08/13
sibarin♪
32
本の守備範囲が広いと思った。読書好きなんてTVで観る感じからは想像しなかったけど、色々な役をこなす役者さんなら本のジャンルを問わずに沢山読まれているのは決して不思議ではない。読みやすかったので特徴的な声を思い出しながらサラサラと読了。途中で自分の読んだことのある本が出てくると嬉しくなったりなんかしてた。2014/10/25
くるぶしふくらはぎ
26
2012年発刊。読書好きな筆者の読書日記。1936年生まれ、私にとって(多くの人たちにとって)人生の先輩である俳優・山﨑努氏。気持ちの赴くままの本との出会い、読書から得た糧が惜しみなく、気負うことなく綴られた本書。毎日、数ページずつゆっくりと味わいながら読了。あとで読もうと思った作品のページには付箋を貼って、とりあえず本棚に戻すけれど、きっとこの先、何度も手に取ることだろう。2025/04/20
ホークス
23
名優山崎努の書評本。己れの老いを噛みしめたり、久々にカツ丼を食べて「まだいける」と思ったり、揺れ動く心が生々しい。香川照之の著書(映画「明日のジョー」撮影日記)の項が興味深い。「少し大仰な言いまわしで」「あふれる思い入れを愛嬌にまぶして伝えようとする」その個性に触れ、リングに立ちたい位のボクシング好きなのに、力石のガウンを羽織って我慢する香川の”かわいい”姿も描写している。山崎の名著「俳優のノート」では、香川が惜しみない尊敬の念を込めて、素晴らしいあとがきを書いており、二人の深い友情が感じられた。2015/07/26