出版社内容情報
朝丘 戻[アサオカモドル]
問[トイ]
内容説明
高校生の真白の背中には羽が生えている。好かれるのも嫌われるのも、人格ではなく羽。そんな自身に空虚を感じていた真白は、「心の底から笑ったことある?」という美術教師の高岡の一言に救われて恋に落ちる。真白の告白はつれなく断られるが、高岡を想う真白は『美術準備室にいると窒息死する』という不穏な学校の噂を調査し始め…。人間と獣人が共存する世界。そこで生まれる3つの恋景色。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
那義乱丸
28
人と違うものに対する偏見や蔑み、身勝手な嫉妬や無責任な賛美。それが原因で人との関わりに距離を置く、まっしろな羽を持つ獣人である真白の孤独が痛ましい。ファンタジー設定の物語に描かれるのは「差別」というとても現実的な問題だ。羽を持つ真白の内面を気にかけてくれた教師・高岡への真白の未熟さゆえの自分本位な拙い片想いが切ない。真白は気付かずとも読者には高岡の想いが見え隠れしていたけれど教師であることを貫いた高岡が好ましかった。だからこそ、彼の本心が明かされる最終章に胸が熱くなる。特に男泣きの件には思わずホロリ。2016/08/20
nono
24
BL。獣人が混在する世界観の中で男子高校を舞台に三組の想い。どの話も当事者にとっては深刻な差別であったり、生きていく上でのしんどさ、そして獣人と人間の立ち位置の違いがしんみりと。全てを受け止めて愛に進化する気持ちも又色々あって、さりげなくリンクする人間模様に感嘆。ずっと思い続けた真白と高岡の話を最後迄読めてほんわか幸せ気分になりました。不思議な雰囲気の話でしたが、男子高校での人間関係が現実風味でこの一体感がなんとも。楽しく読了。2017/09/01
きょん
23
どのCPも素敵だなと思うけど、やっぱり美術教師と羽をもつ真白くんとの表紙CPが一番好きかなあ。修学旅行の夜のエピソードは涙モノなので、猶更3年後のベランダの羽根ばさばさがきゅんとしました。2016/09/14
りんご☆
15
読了2017/11/18
雨蛙
14
表紙の絵のとおり、背中に羽の生えた男の子が出てきます。朝丘さんはさらりと人間と獣人が普通に生活する世界を作り出しています。そんな世界のある男子高校での3つの出会いのお話。 切なくてきれいな余韻がありました。2017/02/10