内容説明
ジェイは元気いっぱい。やさしい家族と大好きな友だちと、未来への夢と。ほかになにがいる?早く大きくなりたくて、しょっちゅう背をはかってもらうけれど、1センチ伸びるごとに、ママはなぜか悲しそう。大きくなるにつれて、パパもおばあちゃんもおじいちゃんも、ジェイにおかしな注意をするようになって…。アフリカ系アメリカ人の子どもたちが、ある年頃になると、かならず家族から伝えられる「してはいけないこと」。「トーク(話)」と言われるその約束を、差別と偏見による暴力からいのちを守るために、子どもたちは覚えなければなりません。こういった人種差別に気づき、声をあげることは、自分のすぐ近く、自身もその中にいるコミュニティにある差別とまっすぐに向かい合うことでもあります。逃げないで、目をそらさないで!わたしたちの問題です。2023年「コレッタ・スコット・キング賞」オナー賞受賞作品。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
たまきら
61
原題「The Talk」。これ、大学生の頃アフリカ系の友人が「性教育と同じぐらい当たり前だよ」と事も無げに教えてくれたことです。映画「The Hate U Give」では、このような会話をする機会がなかった少年が新米警官に射殺されるシーンが衝撃でした。「集団になるときはアジア人や白人がいたほうが安全」とか言ってたなあ…。でもアメリカだけではありません。日本でも白人系の友人は職質の経験なんか皆無なのに、彼や韓国系の友人たちは月に何度も職質されていて驚かされました。相互理解のためにも、こういう絵本は宝物です。2024/03/20
とよぽん
52
ママたち、たくさんのママたちかと思ったら違っていた。それは、ママをはじめとする家族(パパ、おじいちゃん、おばあちゃん)だった。ジェイは元気な男の子。友達と楽しく遊んだり家のお手伝いをしたり。早く大きくなりたいと思っていた。けれども、大きくなるにつれて社会の人種差別的の影響と無縁ではいられなくなる。ブラック・ライブズ・マターの絵本だ。警官による黒人への暴力や殺害、犯罪者の人種による不平等な取り扱いなどの撤廃を訴える運動。世界にはこんな問題があることを、日本の子どもたちに知ってもらいたい。落合恵子さん訳。2025/03/15
なつ
38
ミルを見ていて思った。猫も犬も毛並みの色や体の大きさ、それぞれ違うし種類も色々。それでも、猫は猫、犬は犬だと誰もが認識している。そんなの当たり前と誰もが思っている。それなのに、その対象が『人』になると肌の色や髪の質感、体格、言語等「自分とは異なる箇所」を見つけた途端に「自分とは異なる者」として見、意識し、警戒し、時には排除したりする。本来、伝えなくて良いはずの事を伝えなければならない大人の辛さ・悲しみ・葛藤・嘆き・怒り。そして、それらを学び守らなければならない子供達が今現在もいるという事に言葉をなくした。2024/11/08
わむう
26
アフリカ系の子どもたちは、ある程度大きくなると、周りから偏見を持たれぬように家族からいくつかのルールを教わります。つるんではいけない、フードをかぶって歩いてはいけない、ポケットに手を入れてはいけない=武器を持っていると思われるから。不当なルール、偏見、差別について考えさせられる絵本です。2024/04/13
Cinejazz
25
〝ぼくの名前はジェイ。早く大きくなりたくて、しょっちゅう背を測ってもらうけれど、1センチ伸びるごとに、ママはなんだか寂しそう・・・。大きくなるにつれて、パパもお婆ちゃんもお爺ちゃんも、おかしな注意をするようになって・・・ “ポケットに手を入れない” “群れて遊んではダメ” “ジャケットのフードを被っちゃダメ”・・・「どうして?何故?ぼくは、いつものぼくなのに・・・」〟アフリカ系アメリカ人の子供たちが、ある年頃になると、家族から教わる “してはいけないこと”。・・・それは、差別や偏見による暴力から↓2025/03/11