感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
またの名
10
鋼の錬金術師によってロゴスを説明し妖怪で概念というものを教える異色な入門。概念、体系、哲学史などのそもそもの意味や役割を本書のように一から考えさせて解説する導入は、取っ付き易く見える主題ばかりで釣ろうとしてる多くのビギナー向けとは狙いも構えも違う。最終的にはシェリングの代表作を読み解くのが目的なので進むにつれて内容は難しくなっていくけど、ヤコービの批判を中心に描き出されたドイツ観念論の歴史は、他書での記述では把握できなかった流れがスッと頭に入ってくる。スピノザやライプニッツ及び同時代との格闘のマッピング。2018/07/31
うえ
5
思想の逆効果か。「ヤコービの意図は、啓蒙主義の象徴レッシングをスピノザ主義者、無神論者として告発することで、啓蒙主義に打撃を与えることだった。宗教、信仰を重視するヤコービにとって、啓蒙主義は目の敵だったの…ヤコービの意図はある程度の成功を収める。しかし…ヤコービのスピノザ理解が、それまでは実はよく知られていなかったスピノザへの興味を引き起こした…ヘルダー、ゲーテといった人々はスピノザを高く評価し…シェリングやヘーゲル、ヘルダリンといったこの後の世代は、ヤコービの『スピノザ書簡』を読んで熱心に勉強した。」2025/06/02
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