出版社内容情報
“黒手塚”の深い闇ーーーその深部に迫る問題作が、雑誌連載当時のオリジナルの形で初単行本化!
1970年12月から翌年6月まで『週刊少年チャンピオン』誌に26回にわたって連載された『アラバスター』は、手塚治虫の"ダークサイド"を作品に昇華させた"黒手塚"の代表作。しかし、単行本化にあたっては、主人公の設定やコマ割り、セリフなどが大幅に変更され、改変箇所は実に200ページに及んでいる。本書では、同作をカラー頁や扉絵も含め、雑誌連載当時のオリジナルの状態で初単行本化。巻末には関連資料も掲載した。
本作の主人公は、F光線で体が半透明化したことから、自身の醜さゆえに美しいものを憎み、「畸型城」をアジトに破壊工作を繰り返す怪人・アラバスターと、呪われた出自を持つ美少女・亜美。物語は彼らを取り巻く人々を巻き込みながら、悲劇的な結末へと導かれる......。
作品の主題となるのは、人間の奥底に潜む「復讐/憎悪」の心と「歪んだ愛」。欲望が渦巻く世界で翻弄される人々の運命を描いた問題作!!
著者紹介
手塚 治虫(てづか おさむ)
1928年、大阪府豊中市生まれ。兵庫県宝塚市で少年時代を過ごす。46年マンガ家としてデビュー。翌年発表した「新寶島」等のストーリーマンガにより、戦後マンガ界に新生面を拓く。62年アニメーション作家としてデビュー。翌年から放映したテレビアニメ「鉄腕アトム」により、テレビアニメブームをまきおこす。89年2月9日没。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
たまきら
34
以前手塚治虫のドキュメンタリーを見た時、「ブラックジャックは手塚さんが厭世観を持っていた時の漫画だ」というような描写があり、首をかしげていたのですが、この本を読んで著者の中に「人間はどうしてもだめなんだ」というようなあきらめと怒りの気持ちがあったのでは…と感じました。火の鳥だとそれでも次の進化に賭ける火の鳥の気高さがあるんですがねえ…。ロックのナルシストぶりは最高でした。2021/01/19
ムーミン2号
7
いわゆる「黒手塚」の一つで、1970年から翌年にかけて少年チャンピオンに連載された悲劇的作品。反対の「白手塚」にだってダークな部分があるのだから、黒だの白だのと言うのもどうかと思うが、救いのないラストへ向けての悲劇の奔走に加え、ロック・ホームの人間性の醜さが別からこの作品を黒く塗りつぶしている。この本はオリジナル版で、単行本となったものには200頁に及ぶ改変がなされているらしい。その詳細は読み比べるしかないとして、作品としてはラストまで仕上がっているので、読み応えはある。2019/01/01
蝉、ミーン ミーン 眠ス
1
死ぬこと以外の救いが一切なくだただ気が重くなる。2019/01/24
怪人バルバリ博士
1
雑誌 少年に連載されていた『鉄腕アトム』の最後のエピソードに「火星から帰ってきた男」というのがある。謎の老人(火星人)に超能力を授けられた、顔の崩れた男ユダ・ペーターが要人を殺害するテロ行為を働くというものである。3回という短いエピソードで、それは予定通りだったのか、長くするつもりが雑誌休刊のため無理やり終わらせたのか、今となっては分からない。しかし手塚治虫はこのエピソードを惜しいと思ったのか、2年後ユダ・ペーターを転生させる、アラバスターとして。2018/12/31
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