内容説明
本書では、まず、古代東国への仏教伝播の痕跡ともいうべき、古墳からの出土品で仏教文物と目されている遺物―小金銅仏・仏像鏡・水瓶・銅匙・銅鋺など―を、できるだけ拾い上げてみました。そして、次に、それらの仏教文物の伝播が仏法伝来を意味しているか否かを、古代東国と倭国との関係、銅鋺・同型鏡の分布、寺院創建縁起および『梁書』東夷伝に見える「扶桑国」の記事などから検討しました。なお、この論文は、古田武彦が唱える九州王朝説、すなわち、七〇〇年までは日本列島の代表王者は九州王朝=倭国であり、大宝元(七〇一)年以降はその分王朝であった近畿天皇家=日本国が倭国に代わって日本列島の代表王者となった、そして、古代東国には関東の大王(埼玉稲荷山鉄剣銘に刻まれた大王など)が存在し、その他の地域にも王者がいたという説に基づいて考察したものです。
目次
小金銅仏
仏像鏡
銅水瓶・銅匙・銅鋺
蛇行状鉄器
特異な人物埴輪
古代東国への仏法伝来
「古代東国への仏法伝来」研究・参考文献目録
著者等紹介
増田修[マスダオサム]
昭和10年広島市に生まれる。36年東京大学文学部社会学科を卒業。日立製作所人事部勤務を経て、46年弁護士登録(第二東京弁護士会所属、現在に至る。茨城民俗学会,民俗芸能学会、芸能史研究会、東洋音楽学会所属
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。