内容説明
谷崎潤一郎『青い花』・山本周五郎『さぶ』・宮本輝『五千回の生死』・有吉佐和子『悪女について』から「短編小説を書く技術」を学ぶ。
目次
“初級編”のおさらい
短編小説とは何だろう
短編小説のプロット
「書き出し」について
「会話」について
「キャラクター」について
実践としての短編小説
著者等紹介
奈良裕明[ナラヒロアキ]
作家・小説家。1960年、東京生まれ。89年『チン・ドン・ジャン』にて第13回すばる文学賞受賞
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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ja^2
5
原稿用紙にして450枚を過ぎたところで、まったく書けなくなってしまった。理由はわかっている。2年ほど前からの出来事を題材に書き進めてきたのだが、ほぼ現時点に追いついてしまったからだ。▼つまりこれは、よく言われる「創作との間に距離が保てなくなった」ということだ。これ以上を書こうとすれば、それはただの身辺雑記になってしまう。ここはしばらく時間をおくしかない。▼それにしても、どこでどう物語を終わりにすれば良いのだ。あの時に戻って生き直すこともまだ出来ていない。いや、すでに決着しているのだ。現実を直視しよう。2016/08/17
及川まゆみ
5
いろんな作品をテクストにしているので、それが面白いです。特に山本周五郎の「さぶ」の項は、「さぶ」の読み方を変えるくらいの分析でした。作家修行をするのは、こうやって先人の素晴らしい作品をお手本にするんですね。面白かったです。2014/03/20
てる坊
4
山本周五郎さぶ、谷崎潤一郞、有吉佐和子悪女・・・・いろいろな小説を紹介してありその都度探し求めて読むのが結構為になる。宮崎駿のカリストロの城の絵コンテ集も推薦。後の3巻目の小津安二郎東京物語の台本。どうしてこの本がいいの2013/07/20
いっち
3
谷崎潤一郎、山本周五郎、宮本輝、有吉佐和子の作品を引用し、小説の書き出し、会話、キャラクターについて解説する。引用作品は未読だが、具体例を示しての解説なので理解しやすい。書き出しでは、強烈なイメージが一つ残るようにする、5W1Hを明確に示す、不要な点を書かずに捨てる。会話では、問いに対して答えをズラすと、心情の乱れが伝わりドラマが発生する。短編小説を書く際に大切なのは、「内容と一致した語り口をハッキリさせる」「読み手が作品との距離を作れる、立ち位置を定める」。物語の最初と最後に枠を作ることで距離を保てる。2018/05/20
OHモリ
3
●シリーズ第1巻を読んだ流れで読んだ図書館本、メッソッド2は短編小説を書くための実践編。 ●まず素晴らしい短編小説として教材になっている谷崎潤一郎の作品は理解もできないし、つまらなく読む意欲を失ったものの、読んでいるうちに「なるほどな」と思える短編小説のトレビアというかテクニックががあって勉強になった。 ●で、短編小説書いてみたけど・・・小説を書くのって大変なんだなと改めて実感。これまで短編小説には物足りなさを感じていたけど、これから小説を読む視点も変わりそう、たぶん多面的で深くなる?そんな予感がする。2018/01/02