出版社内容情報
学校現場では、児童生徒、保護者、同僚など、さまざまな人との関わりのなかで、コミュニケーションにまつわる悩みが生まれます。世代間の価値観のずれ、思春期特有の悩み、集団学習の難しさ、愛着の課題、神経由来の特性・脳、保護者の多様化など、背景が複雑に絡み合うことで、問題の解決に時間がかかることもあります。こうした日々の課題に向き合いながら、教職員自身も無理なく働き続け、子どもたちのモデルとなるためには、自分の考えや感情を大切にしつつ、相手の考えや感情も尊重して伝えるコミュニケーションが重要です。本書が取り上げるのは、誰もが改善に向けて挑戦できる「アサーティブ」という考え方と、その実践に必要な言語化の技術です。アサーティブとは、自分の考えと感情を大切にしながら、相手の考えや感情も尊重して伝えるコミュニケーションの考え方と方法。本書では、アサーティブを学校現場の共通言語として捉え、教室や職員室で起こる具体的な場面をもとに、その考え方をわかりやすく紹介します。たとえば、書類の提出期限を守らない同僚への伝え方、同僚からセミナーに誘われたときの対応、残業が常態化している後輩への声かけ、ICT活用に消極的な同僚とのやり取り、他の教員の噂話をする保護者への対応、生徒の意見とは異なる要望をする保護者への伝え方、採点ミスをした際の謝罪、授業中に目配せをする児童への対応など、学校の日常で起こりうる27の場面を具体的な会話例として掲載。単に「こう言えばよい」と答えを示すのではなく、相手を尊重しながら自分の意思も伝えるための視点を学ぶことができます。
全7章では、社会の変化に対応するための心の拠り所について考え、「しっかり働く、しっかり整え」「日常で積み重ねるアサーティブ・トレーニング」「事例で学ぶアサーティブ」へと進みます。さらに、児童生徒を対等な一人の人間として向き合うこと、「選択」する力を児童生徒たちへ伝えること、自己表現の権利、国語科とアサーティブの交差点について考察します。理論だけでなく、子どもたちとの関わりのなかで実践してきたことや、そこで得た気づきもまとめられています。著者は、国語科教育・コミュニケーション教育を専門とする帝京大学教育学部初等教育学科教授の坂本喜代子、公立小学校教員を経てアサーティブの考え方を土台に実践してきた秋保彩織、学校の相談活動やスクールカウンセラーとして子ども、保護者、教職員への支援に携わり、アサーティブジャパン理事・認定講師を務める谷澤久美子の3名。それぞれの専門性と現場経験を生かし、学校で働く人が自分も相手も大切にしながら、よい関係を築いていくためのヒントを提示します。「いまちょっと相談いいですか、先生」と声をかけられたとき、あるいは自分から誰かに相談したいときにも、どのように言葉にすればよいのか。本書は、教室と職員室を支えるコミュニケーションの技術を、具体的な事例と会話を通して考える一冊です。アサーティブをクラスや職場の共通言語として育てることで、教室がどのように変化していくのか。その可能性を、4つの実例を通して紹介しています。
【目次】
はじめに 社会の変化に対応するための心の拠り所
第1章 しっかり整え、しっかり働く
人と合わない、ことと合わない
自分に必要なことに気づく
自分見える化メモ
自分を回復させるメニュー
休まないことの3つのリスク
第2章 日常で積み重ねるアサーティブ
自分からスタート
コミュニケーションの3つのパターン
自分のコミュニケーションのパターンを知る
アサーティブの4つのマインド
アサーティブのスキル
【事例1】同僚に、書類の提出期限を守るよう伝えたい
第3章 事例で学ぶアサーティブ
【事例2】先輩に「話し合い活動」について率直に相談したい
【事例3】担任に健康診断問診票を出席番号順に揃えて提出して欲しいと伝えたい
【事例4】問題を抱え込む担任に「相談してほしい」と誠実に伝えたい
【事例5】同僚からのセミナーのお誘いを断りたい
【事例6】管理職からの思わぬ指摘へ冷静に対応したい
【事例7】指導方針の違いを乗り越えたい
【事例8】保護者対応に対する温度差を乗り越えたい
【事例9】残業に対するスタンスの違いを乗り越えたい
【事例10】ICT活用の姿勢の違いを乗り越えたい
【事例11】指導方針についての引っかかりを、話し合いながら解きほぐす
保護者との関係づくり
【事例12】保護者からの席替えの要求へ冷静に対応したい
【事例13】保護者へ席替えの話し合いについて報告をしたい
【事例14】保護者に学校での現れを報告し、相談につなげたい
【事例15】保護者からの他の教員への批判を相談につなげたい
【事例16】児童・生徒と保護者の考えの違いを伝え、対話を促したい
【事例17】保護者に問題を示唆され、ともに解決に向かいたい
保護者から聞いた担任の自慢話
【事例18】子どもの発言を待たずに話す保護者に対応したい
第4章 対等なひとりの人間として子どもと向き合う
自分自身と誠実に向き合う
子どもと対等に向き合う
アサーティブで在ろうとすること
日常にあふれるアサーティブな場面
【事例19】授業に遅れてくる子どもと、どうしたら間に合うか一緒に考えたい
【事例20】忘れ物が続いている子どもと、できる工夫を一緒に考えたい
【事例21】言い合いになっている子どもたちの話を聴きたい。でも授業も進めたい
【事例22】友達との関係に悩む子どもと、これからどうするかを一緒に考えたい
【事例23】思いを言葉にすることが難しい子どもの声を聴き、互いの理解を支えたい
【事例24
内容説明
授業準備、成績付け、保護者の対応、学習のつまずきへの個別の対応、年間行事の準備、合理的配慮が必要な児童生徒への対応、etc.毎日一生懸命に走り続けている先生たちへおくる、自分と相手を大切にするためのアサーティブの技術書です。
目次
第1章 しっかり整え、しっかり働く
第2章 日常で積み重ねるアサーティブ
第3章 事例で学ぶアサーティブ
第4章 対等なひとりの人間として子どもと向き合う
第5章 「選択」する力を子どもたちへ
第6章 自己表現の権利
第7章 国語科とアサーティブの交差点
著者等紹介
谷澤久美子[タニザワクミコ]
1998年9月「心の教室相談員」から学校の中での相談のキャリアをスタート。その後、21の小学校と11の中学校、2つの小中一貫校、4つの高等学校で活動。公認心理師。特定非営利活動法人アサーティブジャパン理事、認定講師
秋保彩織[アキホサオリ]
公立小学校教員。民間企業での勤務を経て現職。本書では、アサーティブの考え方を土台に、日々の子どもたちとの関わりの中で実践してきたことや、そこで得た気づきをまとめている
坂本喜代子[サカモトキヨコ]
帝京大学教育学部初等教育学科教授、専門は国語科教育・コミュニケーション教育。著書『対話的コミュニケーションが生まれる国語』溪水社。東京学芸大学教育文化賞奨励賞(2003)受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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