内容説明
中期から最晩年にわたる諸作品への探究。有島文学は小説のみならず、童話、戯曲、詩、評論など幅広いさまざまなジャンルに亘っている。本集では、『星座』を中心として、表現主義・ダダイズムなど大正アヴァンギャルド芸術に接近する短編群まで、有島の中期から最晩年にわたる諸作品を取り上げ、新しい視角と方法によってアプローチした論考を収め、その多様な展開をも明らかにしようと試みた。
目次
有島武郎の作品構造―小説を支える「時間」の視座
「平凡」と「非凡」―『平凡人の手紙』をめぐって
有島武郎の童話―『一房の葡萄』を中心に
『星座』の内的構造
『星座』の孤独/書くことの孤独―有島武郎「晩年」への一視角
「境界のドラマ」のドラマトウルギー
客―有島武郎晩期小説論、もしくは有島武郎とアルベール・カミュ
『親子』論