内容説明
ホー・チ・ミン主席は、独立宣言の直後に、「たとえ国家が独立しても、民が幸福で自由でなければ、独立にも何ら意味はない」と記している。ホー・チ・ミンの視野の広さを否定することはできない。主席がこの声明を出した時には、人類はまだインターネットを持たず、世界はまだグローバル化の時代を迎えていなかった。多くの国の人々にとって、民族独立は限りなく神聖なものだった。そのホー・チ・ミン主席が設立し、指導したベトナム共産党の政策形成の基盤が、イデオロギーではなく人民の自由と幸福だったならば、人々はプロレタリア独裁も、土地改革も、資本家階級の改造も、『ニャンヴァン・ザイファム』への弾圧も経験することはなく、民族や家族の中の無数の衝突を見ることもなかっただろう。
目次
第1部 グエン・ヴァン・リンの足跡(束縛からの解放;多元化を求めて;リンとキェットの隔たり;ヴォー・グエン・ザップ将軍)
第2部 3人の指導者(市場経済;三権分立を認めず;三人分権;第8回党大会;レ・カー・フィオウと3人の顧問;社会主義志向;次世代の指導部;戦闘と交渉)
著者等紹介
ドゥック,フイ[ドゥック,フイ] [D´uc,Huy]
1962年ベトナム中北部のハーティン省に生まれる。本名はTruong Huy San。1979年3月ベトナム人民軍入退。1980~1983年化学防護士官学校で学ぶ。1984~1988年、軍の専門家としてカンボジアで勤務。1988~2009年『トゥイチェー(若者)』『タインニェン(青年)』『サイゴン経済時報』『サイゴン・マーケットリサーチ』各紙の記者を務める。2005~2006年ハンフリー奨学金を受けメリーランド大学で政策分析を研究。2012~2013年ニーマン奨学金を受けハーバード大学で政策分析研究。2013年に帰国後はホーチミン市でフリーランスのジャーナリストとして活動。主にFacebookを通じて情報発信を続けている
中野亜里[ナカノアリ]
1960年滋賀県大津市に生まれる。慶応義塾大学法学研究科博士課程満期退学。博士(法学)。2010年より大東文化大学国際関係学部教授。ベトナムの近・現代の政治・外交史、近年の民主化をめぐる諸問題を研究。慶應義塾外国語学校、早稲田大学等でベトナム語クラスを担当。民主化を望む在日ベトナム人コミュニティとの親交を重ね、ベトナム知識人や宗教者、少数民族やメディア関係者等、社会的公平を求める人々の現状を調査、研究する。同時に、ミャンマー等における民主化運動・人権状況にも精通する。2021年1月9日死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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