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内容説明
ゾーイは唇を噛み、まばたきをして涙をこらえた。すぐに泣くタイプではないが、挫折感のあまり泣きたい気分だ。暗い駐車場で彼女は今、ホーストレーラーを盗もうとしていた。この中にいる馬は私のものよ。早くトレーラーを切り離さないと、居酒屋から誰か出てきてしまう。それなのに、さびついたジャッキのハンドルが動かない。「なにをなさっているんですか、マダム。」背後の声に飛び上がらんばかりに驚いて振り向くと、男性のシルエットが浮かんでいた。少し酔っているらしい。一瞬恐怖を覚えたが、この町は犯罪のない平和な町なのだ。カウボーイハットにウエスタンブーツの男はたくましい肩をしている。ゾーイは思わず手伝ってほしいと頼んでいた。二人の出会いは、とてもまともな出会い方とは言えなかったけれど…。