出版社内容情報
宿業とは運命なのか。『歎異抄』十三条を読み解きながら、ポスト真実時代を生き抜くための、親鸞の宿業観を考察。新装版で復刊。宿業とは運命なのか。『歎異抄』十三条を読み解きながら、ポスト真実時代を生き抜くための、親鸞の宿業観を考察。新装版で復刊。
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宿業が救いの事実を表すものだということは、『歎異抄』の前のことばで言うと、無碍なる存在、障りのない人生を生きるということをほんとうに生活の中でうなずくことのできる原点、それが宿業なのだということです。
ところが一般的には、宿業とか業とかいうことばを聞くと、なにかしらあきらめなければならないような気になるのではないでしょうか。(中略)
業ということばは、もとの仏教のことばとしては悪い意味はすこしもないのです。でも私たちは、業が深いというように言います。しかし業というのは、本来行為、行いという意味ですから、行いが深いということになります。行為、あるいは行いの蓄積というのが生活ということですから、行為が深いというのは生活が深いということになります。(中略)人生二度とは生きられないのですから、きょう一日の人生が深い、こう言える人生ほど豊かな人生はないはずです。
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(本文より)
新装版として堂々復刊!
本文と意訳
宿業の課題
宿業の問題点
作り出された差別
生きている親鸞聖人の教え
『歎異抄』十三条にしか説かれない宿業
部落差別に荷担した浄土真宗教団
中村久子さんの告発
辛抱では救われない人間
屠沽の下類と共に
宿業の疑問に答える経典
部落内の門徒衆へ
親鸞聖人のお心に帰る
宿業という身の事実を知る
第十三条を読む
『歎異抄』第十三条
『歎異抄』の中の三つの問答
信心の異なりを歎く
つくるつみの宿業にあらずということなし
わがこころのよくて、ころさぬにはあらず
くすりあればとて、毒をこのむべからず
さるべき業縁のもよおせば、いかなるふるまいもすべし
なむなむのことしたらんものをば、道場へいるべからず
よきことも、あしきことも、業報にさしまかせて
『唯信鈔』のことば
本願にほこるこころのあらんにつけてこそ
あとがき
廣瀬 杲[ヒロセタカシ]
著・文・その他
目次
宿業の課題(宿業の問題点;作り出された差別;生きている親鸞聖人の教え;『歎異抄』十三条にしか説かれない宿業;部落差別に荷担した浄土真宗教団 ほか)
第十三条を読む(『歎異抄』第十三条;『歎異抄』の中の三つの問答;信心の異なりを歎く;つくるつみの宿業にあらずということなし、わがこころのよくて、ころさぬにはあらず ほか)
著者等紹介
廣瀬杲[ヒロセタカシ]
1924年京都市生まれ。大谷大学文学部卒業。大谷大学元学長。大谷大学名誉教授。文学博士。私塾聞光学舎主幹。2011年12月逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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