出版社内容情報
大家族で生まれ育ち、高校を中退してキャバ嬢をしていた天使(えんじぇる、本名)は、裕福な老人、光子の住むホテルで働き始める。長期滞在する孤独な老人たちが住むホテルで、光子に、天使は生きる術を教えてほしいと願い出るーー。蓄財のノウハウを伝授され、天使の生活は少しずつ変わり始めるが、やがて世代が違うふたりの持つ過去と秘密が明らかになってーー? 文庫だけ、「天使のその後」を描く特別スピンオフ短編付き。
内容説明
テレビの特番で有名になった大家族で育ち、高校を中退、キャバ嬢として無気力に働いていた天使は、店で会った老女・光子に興味を持つ。「金持ちになれる方法を知っている」彼女を尾けた天使は、訳あり老人たちが長期滞在するホテルに辿り着く。天使は光子に生きるノウハウを教えてほしいと懇願、人生が変わり始めるが―。お金と老い、現代の幸せの形を問う傑作長編。
著者等紹介
原田ひ香[ハラダヒカ]
1970年神奈川県生まれ。2005年「リトルプリンセス2号」でNHK創作ラジオドラマ大賞受賞。’07年「はじまらないティータイム」ですばる文学賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Shoji
29
物語には二つの顔があった。一つは、老人ホテルのタイトルがつけられている通り、高齢社会の暗部を描いた物語。そして、もう一つは、最底辺に暮らす女の金への執着の物語。生活防衛をするためには、自分を守っていかなくてはならない。改めて気付かされた作品であった。お金に翻弄される人々の描写がとても面白かった。2025/04/23
mayu
24
ポップな装丁とは裏腹に最初から最後まで少し苦い。老人ホテルという言葉から老人施設が舞台と思いきやビジネスホテル暮らしをしている老人達と、大家族で劣悪な家庭環境で育った天使(エンジェル)の物語。老人達と関わる事で少しずつ学んでいくけれど、心を開く訳でも打ち解ける訳でも無い不思議な距離感に天使の掴み所の無さを感じた。光子と出会えてほんとに良かったねと思うけれど、育った環境から与えられた無知さや諦め、劣等感は天使の人生にどこまでも影響を与えこれからも付き纏うのだろうかと考えてちょっとしんどいなぁと感じた一冊。2025/04/24
NAOAMI
9
生活保護の不正受給、子を子と思わない毒親に育てられ、高校中退を機に家族と離れて暮らすも、貧困と無知のまま無気力な暮らしぶり。そんな天使が不動産で財を成し「老人ホテル」で余生を過ごす光子に興味を持ち自分を変え貧困から脱却したいと彼女に近づく。世知を知らず離れていても毒親の呪縛に苛まれるような自己否定。光子と心が通い始めその指導で暮らしが変わり、不動産収入で身を立てるまでになる。光子の死にざま、天使の成功という物語の進展よりも、それぞれの暗闇人生が冷たくのしかかる。成功後の天使の葛藤という結末の救われ無さよ。2025/04/30
ヨシ
7
生活保護を受け、自堕落な生活をする家族。テレビの特番で有名になったこの大家族から逃げた末っ子天使が働いているのは、老人たちが長期滞在しているビジネスホテル。天使は光子に生きる術を教えてもらい、蓄財のノウハウを伝授され、生活も少しずつ変わり始めるのだが…子供は親を選べない。こんな親はあり得ないと言いたいが、意外にいるよな〜。天使がエンジェル、我天使がカブリエル、大天使でミカエル。ネーミングセンスだけて親の生き方がわかる描き方はさすが原田ひ香さんと言うしかない。ラストは少々不満があったが、それも後日談で解決。2025/04/26
ICHI (atomic)
4
まさに『子は親を選べない』。 こんな家に生まれたら嫌だな〜って思ってしまう。何がある度に出来ないを理由に自分の未来に怯え、諦めていくことが染みついていく。逃げ出した天使の勇気は凄いが、その日暮らしはいただけない。元出がないと何も出来ないもんな〜😅2025/04/21
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