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内容説明
近世日本という一国を超え、東アジア世界にも影響を与えた“徂徠学インパクト”―幕藩制下の政治と学問を儒学主導に変革させる理念的根拠を築いた荻生徂徠(一六六六‐一七二八)。徂徠学の登場が太宰春台などの徂徠学継承者と反徂徠学者による思想的衝突・発展を促したのみならず、丁若〓(よう)をはじめとした朝鮮の思想家にも多大な影響を与えたことを、一国思想史を乗り越え、東アジア思想史という枠組みから検証した注目の論考。
目次
序論 ―「一国思想史」を克服する
第1章 東アジア思想史における徂徠学
第2章 太宰春台における徂徠古辞学の読み直し
第3章 太宰春台における徂徠人間論の読み直し
第4章 徂徠学の周辺の世界(1)―片山兼山における徂徠学の受容と変容
第5章 徂徠学の周辺の世界(2)―反春台論として『聖学問答』批判書の公刊
第6章 朝鮮実学と徂徠学―丁若〓(よう)の徂徠学認識
結論
著者等紹介
李基原[イキウォン]
1971年、韓国江原道生まれ。江原大學校哲学科卒業。京都大学大学院教育学研究科博士課程修了。博士(教育学)。現在、江原大學校非常勤講師。専攻は日本思想史・日本教育史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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きさらぎ
5
徂徠の思想を概観し、その守護者を任じる春台の古文辞学的手法と人間論を著作を通して検討する。反徂徠派としては折衷学派の祖とされる片山兼山をメインに、尾藤二洲などに言及しながら「正統」朱子学の巻き返しを書く。更に朝鮮にあって徂徠を評価した実学派の儒者を取り上げ、影響を受けた部分と異なる部分について分析する、という構成。徂徠学について目新しい記述はないが、春台の著作をの読み込みは興味深い。兼山・折衷学の位置づけについては勉強になった。朝鮮実学は基本知識に乏しいため、朝鮮儒学の本などを再読しないとなあと思った。2017/05/24