内容説明
第四次産業革命、DXが進展する中で、人工知能、ブロックチェーン、IoTといったテクノロジーが世界を大きく変えるイノベーションをもたらしている。イノベーションによる恩恵は計り知れない。スタートアップ企業はもとより、企業内の研究開発・企画立案部門、官庁において政策立案のための最初に起案する若手職員、さらには一時代を築いた方々など、優れたアイデアを有する者はたくさんいる。しかし、これを上手く実装に移せないことが多々あるのが現状である。この原因の一つと考えられるのが新技術等が既存のルールに必ずしも適合しないという点である。この課題を解消しようという取り組みが、本書で取り上げる規制のサンドボックス制度である。本書は、規制のサンドボックスの政策研究に軸足を置きつつ、DX時代の政策形成論へと展開し、官民共創のイノベーションの推進を提言するものである。
目次
第1章 新しい技術・ビジネスモデルの社会実装(中原裕彦)(イノベーションに立ちはだかる見えない壁;規制のサンドボックス制度の創設の経緯;規制のサンドボックス制度の概要;今後のルール形成に向けて―policymaking by experiments)
第2章 破壊的イノベーションとDX時代の政策形成論―スタートアップも政策形成もトランスフォーマー(池田陽子)(デジタル空間のレイヤー構造;破壊的イノベーターとしてのスタートアップ;DX時代の政策形成論:スタートアップと破壊的イノベーションをめぐる三つの展開;スタートアップも政策形成もトランスフォーマー;一政策形成者としてのキャリア観―道)
第3章 規制のサンドボックス事例分析(ブロックチェーン技術を活用した治験の改革―サスメド株式会社(太田賢志)
新しいモビリティへの挑戦―グラフィット株式会社(萩原成) ほか)
第4章 時代の変革者たちの声(施井泰平(スタートバーン株式会社代表取締役)
那須野薫(株式会社DeepX代表取締役) ほか)
第5章 企業の法務機能の新展開(桝口豊)(検討のねらい;事業(価値)創造に向けた法務機能の在り方 ほか)
著者等紹介
中原裕彦[ナカハラヒロヒコ]
長野県出身。経済産業省(1991年入省)、法務省、大蔵省、内閣官房等において、規制改革実施計画、未来投資戦略などの政府の成長戦略の策定や会社法、会社更生法、信託法、証券取引法、産業競争力強化法、不正競争防止法、著作権法等の各種の立法作業に携わる。規制のサンドボックス制度創設を主導。2020年、世界経済フォーラム(WEF)によるAgile50の「公共部門を変革する最も影響力のある50人」に選出。2023年7月より内閣審議官
池田陽子[イケダヨウコ]
長野県出身。2007年経済産業省入省以来、イノベーション政策とグローバルなルール形成戦略に従事。現在、内閣官房で政府全体のスタートアップ政策を統括。2015年から経済産業研究所コンサルティングフェローとしても活動(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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