内容説明
世界トップクラスの実施数を誇るART(生殖補助医療)大国日本。しかしその出産率は世界最低位という現実がある。かたや日本の避妊と妊娠中絶をめぐっては、歴史的にも、また今日もなお、世界的に特異な状況が広がっており、女性労働の特殊な有りようとも関わってくる。これらをどのように理解すべきか?リプロダクティブ・ヘルス/ライツ理念を基軸に、少子化社会日本のタブーを問う!
目次
1 ART(日本におけるARTの特異性)
2 リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(リプロダクティブ・ヘルス/ライツ)
3 「産む権利」と「産まない権利」(世界と日本における晩婚・晩産化と少子化問題―「産む」権利を考える;リプロダクティブ・ヘルス/ライツにおける「産まない」権利と日本)
4 女性が働くこと・暮らすこととリプロダクション(女性の就労とリプロダクション)
付論 人口・出生力問題と女性―経済学的考察を中心に
著者等紹介
河内優子[カワウチユウコ]
1957年広島県尾道市生まれ。1986年九州大学大学院経済学研究科博士課程単位取得退学。九州大学経済学部助手。1987年から八幡大学(現:九州国際大学)法経学部(改組後経済学部)専任講師、助教授、教授。2008年から共立女子大学国際学部教授(現職)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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katoyann
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生殖補助医療実施件数が世界的に見ても圧倒的に多い日本のリプロダクティブ・ヘルスについて分析した本。全般的には、晩産化傾向を生み出す労働需要の問題とイデオロギーの問題とを重ね合わせながら、妊孕力の低下についての啓発が不十分であり、他方ではキャリア形成の充実のみが喧伝された言論のあり方に日本の少子化問題の一因があるという議論となる。この点では、現在のフェミニズムに懐疑的であるが、ピルの使用率の低さに見られる「男性主導型避妊」が人工妊娠中絶の多さに繋がっているという指摘もあり、単純な議論ではない。2024/12/25