内容説明
1926年5月のある嵐の日、ドイツの小さな地方都市ピューリッツ(現在はポーランド領)で女の子が生まれる。父親のいない私生児。ポーランド人の祖母はマレンカ(雷)と呼び、ドイツ人の母はマルゴットと呼ぶ。1939年に勃発した第二次大戦終戦の混乱の中で、彼女は死んだ親友になりかわり、偽りの人生を歩むことになるが。―戦争によって国家も、家族も、自我さえも引き裂かれたドイツの悲劇を躍動感溢れる文章で描く、ベストセラー作家の代表長篇。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
cochou
1
私生児として生まれ、祖母に育てられた女性がナチス政権、第二次世界大戦、戦後ドイツをたくましく生きていく姿を描いた小説。特に、戦争末期の混乱期からイギリス占領時期がストーリーがドラマチックで描写も生き生きしており面白い。 主人公は自ら学び、自立して生きていこうとする新しい時代の女性。そんな女性の胸にしばしば旧世界を生きた祖母のことわざが響く。祖母の「身の程をわきまえ、慎重に生き抜け」ということわざに主人公は反発したり、心打たれたりする。この点が語り口を立体的にしていて面白い。2017/01/11
dumpty
1
主人公の祖母アンナ・ヤーロシュの言葉がいい。全部書き写したい。「後ろから馬に飛び乗るやつは、前につんのめって、泥んこになるのがおちさ」2005/08/06